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2025年2月掲載

人生を変える柑橘との出会い方

清原 優太 さん/柑橘キュレーター

清原 優太 さん/柑橘キュレーター
1993年生まれ。 株式会社みかん代表。東京大学在学中、 「東大みかん愛好会」を設立。2018年に中退後、約2年間ソーシャルセクター領域のコンサルティング会社に勤務。柑橘産地を巡る中で産地・業種が横断的に連携する場の必要を感じ「日本みかんサミット」を立ち上げる。定期便で旬の柑橘の食べ比べができる「かんみ」の運営も行う。
https://mikan-inc.net

「日本で温州みかんの消費量は40年前と比べて約3割に減少」

初めてしゃべった言葉が「みかんジュースちょうだい!」という生来のみかん好きの私は、この事実を知った時大変な衝撃を受けた。

大学2年生当時、「こたつでみかんを食べるサークル」をつくろうとしていたが、生産量・消費量の激減を知り、思わず「日本のみかんの消費量を増やす」を理念に掲げる、東大みかん愛好会を2014年に立ち上げた。学生のサークルのため引退して以降活動に関わりはないが、現在まで10年以上存続し、みかん好き大学生たちが「みかん狩りができる観光電車の企画」など日々消費量増を目指して活動をしている。こたつでみかんを食べるが理念の団体なら数年で消滅した可能性は高い。

私自身はサークルの設立後、食べるだけでなく産業や文化としての柑橘にも興味を持ち、柑橘産業関係者約250人が集まる「日本みかんサミット」を主催するなど柑橘尽くしの活動をしているうちに気づけば大学を留年、中退していた。人生の柑橘へのささげぶりを面白がってもらい、『マツコの知らない世界』などのメディアにも呼んでいただきながら、現在は株式会社みかんの代表として年間100種類以上の柑橘を扱い、日本中の柑橘産地を巡っている。

好きな柑橘の見つけ方

第1に伝えたい柑橘の魅力は品種の個性だ。柑橘は実は果物の中でも特にわかりやすく品種の違いを楽しめる品目だ。日本だけでも200種類以上の品種が1年中流通する。しかし、品種があまりに多いと選ぶのも難しい。そこで、少し大仰だが、柑橘で人生が変わったともいえる私が、人生が変わるかもしれない柑橘と出会うコツをお伝えしたい。

1つ目は家系図の意識。近年、品種交配技術の進歩で毎年のように新品種が誕生している。家系図に好きな品種を見かけたら、先祖や子孫、親戚を食べてみる。無数にある柑橘の中から、その品種を起点に自分の好みの傾向を明確にでき、おすすめだ。

2つ目は食べ比べ。特に2~4月は話題の品種、紅マドンナの子どもの「紅プリンセス」や、口溶け感がまるで大トロのような「せとか」など1年で1番品種が充実する時季だ。聞いたことのない品種も含め1度に5品種前後食べ比べると、各品種の個性が一層際立ち自分の好みを発見しやすい。

柑橘は人と人とをつなぐ

私は柑橘の魅力の根本は、人と人をつなぐことができることだと考える。「こたつでみかん」という多くの人と共有する温かなイメージが存在し、産地も多く存在するので旅行や帰省の話題と重ねて話題にしやすい。学校や職場へお裾分けに持ち込んだ際には、皮や房が天然の包装紙となり、簡単においしさをシェアできる。

入り口は広くありながら、実は品種や産地、生産者、食文化などマニアックで奥深い世界が存在する。例えば日本酒やバードウォッチングなど愛好者が顕在化しているジャンルには至っていないが、好きな柑橘の品種を探すことを入り口に面白さを感じる人を1人でも増やしていきたい。

  • 国内外のさまざまな柑橘

    国内外のさまざまな柑橘

  • 全国の柑橘の産地を訪れ自らも収穫を手伝う

    全国の柑橘の産地を訪れ自らも収穫を手伝う

  • 好きな柑橘類の家系図を調べることで、お気に入りの品種を探す手がかりに

    好きな柑橘類の家系図を調べることで、お気に入りの品種を探す手がかりに

  • 運営する柑橘のサブスク「かんみ」では、毎月7種以上の旬の柑橘の食べ比べを1年中楽しめる

    運営する柑橘のサブスク「かんみ」では、毎月7種以上の旬の柑橘の食べ比べを1年中楽しめる

(無断転載禁ず)

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