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2024年3月掲載

「キャンプ」を撮り続ける

猪俣 慎吾/写真家

猪俣 慎吾/写真家
キャンプフォトグラファー。2017年に星空案内人®を取得。19年から自ら開発した「プラネタリウムテント」で天の川の解説をしながら全国を回っている。 21年『絶景CAMP GUIDE』(JTBパブリッシング) を出版。 主な得意分野は、広告・料理・アウトドアの撮影。キャンプコーディネーターとしても仕事をしている。外ごはん文化を広めるためのアウトドアパーティーグループ「KIPPIS」を主宰。
http://www.photo-shingo.com

キャンプ写真を撮り続けるということ

フリーランスの写真家として独立して今年で14年目になる。師匠の趣味がきっかけでキャンプを始めて20年になる計算だ。

同じアウトドアを生業(なりわい)にしている登山写真家の方はだいぶ前からいらっしゃるが、キャンプ写真家というのは耳慣れない人も多いと思う。

登山写真家は山を中心に撮影しているが、キャンプ写真家はキャンプ場でテントを張っているところを撮影する。「風景の中に身を置くことがキャンプの醍醐味(だいごみ)」。この言葉を大事にして、少しでも「キャンプ」をブームという一過性のものではなく文化にできるように微力ながら写真家として日々尽力している。

大変ではあるが

キャンプ写真家はやらなければならないことが多岐にわたる。

写真を撮影することは当たり前だが、場所決め・天候読み・テントやキャンプ道具の設置・場合によっては彩りのために、料理もしなければならない。事前に頭を整理していても自然相手なので思ったものが撮影できないこともある。

でも、その時の最高の写真を撮らなければ「プロ」とは呼べない。撮影後に自分や自然と向き合って、何度心が折れそうになったことか。

想定してもそれなりのものしか撮影できない時もあるが、いつしか、冬の桧原湖(ひばらこ)でキャンプをしていた際に、晴れる予報もなかったのに夜中に目が覚めてテントの外に出ると、満天の星空が広がっていた。マイナス15度の夜中の2時から撮影して思いがけない最高の1枚を撮影できた時もある。これだから写真はやめられない。

旅の目的は何なのか

アウトドアブランドの広告撮影をさせていただいているが、同時に作家活動として息子との父子キャンプを生きがいにしながら、キャンプ写真を撮影している。

キャンプは目を引くような道具たちがたくさんあるが、道具ばかりに注目するのではなく、「何をしたい」かを大切にしてキャンプの旅の計画をしている。

目的を持てば旅に必要な道具が分かってくる。道具を目的にしてしまうとすぐにガタがきてしまって、何をしているのか分からなくなってしまう。ブームは道具ではなく、文化として広がることが一番であるべきだ。

最も大切なことは大いなる大自然に向き合い、その風景の中に自分自身を置いて、かけがえのない想い出を作り出すことだ。

これからのこと

かなりの数の作品がたまってきた。自分が大事にしてきた想いを込めた個展を開催してみたいと思っている。

ふと、キャンプをしたこともなかった人に自分の個展をのぞいて作品を見てもらい、少しでも自分もこんな風景の中に身を置けたら、と思ってくれたら本望だ。

  • 時には海外へキャンプに出向くこともある。スコットランド・オールドマン オブ ストーにて

    時には海外へキャンプに出向くこともある。スコットランド・オールドマン オブ ストーにて

  • 息子とのキャンプが生きがい

    息子とのキャンプが生きがい

  • 冬の桧原湖(福島県北塩原村)で夜中に起きて撮影した写真

    冬の桧原湖(福島県北塩原村)で夜中に起きて撮影した写真

(無断転載禁ず)

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