青いボールペンに出合って変化した人生
- 青已 はなねさん/ボールペン画家
- 鳥取県米子市出身。34歳のときに青ペンを買い、絵を描き始める。想像したものを書き始めた3カ月後、パートナーの勧めで個展を開催。以後、地元の米子市を中心に定期的に個展を開催し、線の表現を変化させている。水彩紙に0.35ミリの細いペンで「現実には出逢うことのない生き物や植物が共存する明るい世界」を緻密に描く。 https://hananeaoi.jp
青色の細いボールペンに出合う
何かに焦り18歳で家出をしたが、「場所を変えても自分が変わらなければ意味がない」と悟って3日で地元へ帰った。
それから随分時間がたって、青色の細いボールペンに出合い、想像していない大人になっている。
青色一色で絵を描き始めて3カ月目に初個展、3年目に画集出版、5年目から海外展示、7年目は地元美術館個展、10年目にギャラリー兼アトリエを開いた。
ここまでシンプルに書くと順調に聞こえるが、その中にはちゃんとつらかったことも苦しい思いもしっかりあった。とはいうものの、絵を描き始めた頃に掲げた、10年描き続けようという目標も達成してしまった。
私が描きたいものは
そして気づいたことは誰かからの応援と、もらった言葉は心の底から湧き上がってくるエネルギーになったということ。私がこうやって走ってこられたのは、周りの応援がずっとずっとやむことなくあったから。自分がやりたかったことをやり遂げた時、案外気持ちはドライなものだったし、絵が描けなくなった時も、大きな挫折を味わい苦しくて泣き続けたことがあったはずなのに、今はなんともしらっと描いているのもおかしなことだ。
そして、私はたくさんの愛ある人と出会って、囲まれて、助けられていたことこそが感動で、それこそ表現するべきものだと思った。シュールな世界を見せる芸術もいいけれど、私は見てくださる方の心が穏やかになるものを描いていたい。
絵を描くということ
おととしからマーカーペンでライブペイントも始めた。始めた年にフランスのアートフェアで披露させてもらえた。壁画や、イベントでの参加など発表できる場所を変化させ、自分を飽きさせないようにする。
チームを作り、苦手な発信や、大きな事務作業はそこにお願いしたりする。私自身が、絵を描くことでもっともっとたくさんの人に出会いたいのなら、時間を一人で抱え込むことはしない。
こうやって、いろいろな工夫や変化を見つけてきた。あーでもないこーでもないが、いつからか一人ではなくなり、たくさんの応援者と共有できる。
私はようやく絵を描くということで、生きている気がする。
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