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2022年2月掲載

動物と人間をつなぐ懸け橋をつくる

パンク町田さん/動物専門家・動物作家

パンク町田さん/動物専門家・動物作家
1968年東京生まれ。昆虫から爬虫類、鳥類、猛獣といったありとあらゆる生物を扱える動物の専門家兼動物作家。NPO法人生物行動進化研究センターの理事長を務める。種の保存を考え、希少動物の繁殖研究にも取り組む。動物関連での講演、執筆、テレビ出演など多方面で活躍中。著書に『さわるな危険!毒のある生きもの超百科』(ポプラ社)など。https://ultimateanimalcity.info

朝、目が覚めると子どものころに母親に買ってもらった1冊の本が棚から落ちていました。ニワトリの本です。

僕は小学生の時、飼育係をしていました。朝誰よりも早く学校に着くと、まずニワトリに餌を与え、掃除をして鯉たちに餌を与える。

今思えば、これを僕は50年近く続けているだけですね。ニワトリの本もその頃からずっと大切にしています。これは僕の誕生日に買ってもらったものです。高価な本だったので、僕は買ってもらえないだろうと諦めていたのですが、母親は「本当に欲しいのなら買ってあげるわよ」と言うと僕の手から取り会計を済ませました。

僕はうれしくてうれしくてそれからというもの、ニワトリの本を後生大事に眺めては閉じ、また眺めるということを続けています。

僕の今の仕事というのは、すでにこの頃から始まっていたのだと思います。動物と接し、その楽しさを人に伝える。まさかそんなことが仕事として成り立つとは、全く考えてもみませんでした。

しかし現代では、非常に重要な仕事であると僕は確信をしています。なぜなら現代人は山の中に道を作り、家をたて電車を走らせ、道はアスファルトで固められる。すると動物たちの生態系は、必然的に変化を促され、イノシシは行動範囲を広げ、シカは時折街中で暴走する。

これらは人間の開発が彼らのすみかを奪い、あるいは人の作った道路を行動手段として使い始めたためだ。これらのトラブルは、人と動物の付き合い方を広めてゆくことで多くは解決できるものです。

その入口は動物の楽しさ。「また動物園に行きたい!」「ペンギンは寒くないのか?」「パンダは笹を食べてなぜ太るのか?」「犬にはなぜたくさんの品種があるのか?」そんな気楽な動物との付き合いから始めればいいのだと思います。

僕の仕事はそのきっかけをつくることです。動物の行動を眺め、「なぜ歩いたのか?なぜ止まったのか?」そしてある時は「なぜここにいるのか…?」動物との対話は尽きません。それを皆さんに広めてゆくことが僕の仕事です。

これは時により大変な仕事なのです。なぜならそれは、動物の言葉は時にして複雑怪奇だからです。それは、動物たちが人間の行動が理解できないのと理由は同じなのです。つまりお互いに自分たちの常識を覆す行動は理解しづらいということです。

僕は動物と人間の中間的存在。それは中立であることはもちろん、外観・感性的にもそうかもしれません。

優しい母親に大切なことを教わりました。それはニワトリの本だけではありません。僕にとって人生の全てなのかもしれません。この特技を生かし、僕はこれからも動物と人間をつなぐことで、平和的共存に前進していくのです。

 
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