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2021年7月掲載

包み込む『和』のアートを世界へ

もり わじんさん/創作招き猫アーティスト

もり わじんさん/創作招き猫アーティスト
山形県生まれ。ソウルやニューヨークなど、世界の各都市で展覧会を開催。猫を素材として平面・立体を問わずあらゆる手法で「猫神様」「大頭猫命」などの猫と仏像を合体させた他に類を見ない大作を発表。一方で「大ねむり」「うき猫」など、心地よさや軽妙洒脱な作品も数多く、現代に猫ブームを巻き起こす。分野を広げ展示発表するなど、型にはまらない多面的な魅力を持つ。 https://www.moriwajin.com

30歳の時、当時アーティストらの憧れの地だったニューヨークで絵の展示会(猫ではない)を2度やった。結果はまあまあ成功だった。しかしアメリカに住んでアーティストをやるのは嫌だと思った。なぜなら食事がおいしくないのだ。旨いものがないわけではないが、旨いものを食うには高級レストランに行かなければならない。人々は旨いものを食べたいので金稼ぎに精を出すことになる。

結果、経済が1番という考えになる。旨いものを食べたいのが1番なのに、それが2番以降になるのはおかしい。これはつまり大衆食堂がおいしくないというのが問題なのだ。

「和」のアートの探究

ところで日本は一般大衆食堂でさえ普通に旨い。調理方法も多種多様あり、微生物の働きによる発酵食品も豊富だ。これは自然の豊かさのたまものだろう。生まれ故郷の山形などは山菜だけでなくその辺りの草でも食うし旨い。経済が優先すると自然破壊が激しくなるので、こういう自然食材も食文化もなくなる。根本的な間違いは経済が1番、目的が1つしかないような考え方だ。

そこで全てを平等にするために高級と大衆を分断するのではなく、和合するようなアートを探求することにした。和のアートだ。

招き猫で「和」を発信

まず目に入ったのが日本文化の縁起物の招き猫だった。これは当時廃れていた。それから仏像は骨董(こっとう)のようになっていた。招き猫は庶民的で、仏像は高尚なもの。これらを和にしたら、例えば伝統的で斬新で高級な味に深みのある庶民の食事になるだろう。ここに猫の仏像が誕生した。

人との和も考え、知人らにも猫を作ってもらい、東京のギャラリーで猫祭りをした。なんと、ギャラリーから溢れんばかりのお客さん、新聞、雑誌などにも掲載された。その後は猫作家も増え、各地から声がかかり全国で猫祭りを開催。日本の招き猫は復活し、外国にまで広がった。

その後、2009年に和の巨大作品として地元・山形に世界一大きな夫婦招き猫の家を建てた。これは建築と招き猫、西洋猫と日本猫、男女など和の集合体だ。

これからは『1』ではなく、『和』のアートや文化を世界に発信しなければならないと思う。ちなみに『1』は『和』の部分である。

  • 『薬師猫神様』大嶋山瑠璃寺(長野県高森町)所蔵

    『薬師猫神様』大嶋山瑠璃寺(長野県高森町)所蔵

  • 『モナリザ猫』

    『モナリザ猫』

  • 『通まねぎ猫』

    『通まねぎ猫』

  • 『家猫』

    『家猫』

(無断転載禁ず)

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