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ビートルズとの出会いと感動

私は3歳の時に自分の人生を予感しました。15歳までに本物に出会い、一生の道が決まる。20歳までに海外に行く。55歳で第2の人生が始まる…などなど。思い返すと、14歳の時ビートルズに出会い（もちろん曲です）、20歳の誕生日はパリで迎えました。クラシック一筋だった私は、中学2年生の時に『ア・ハード・デイズ・ナイト』を聴き、その第1音「ジャ〜ン」との衝撃的な出会いと感動！と同時にこれが私の一生の道だと直感しました。それは未だにマニア、おたく、コレクター、趣味道楽と言われ続ける、なかなか理解されない道ですが…。

日本各地でイベントを続けてきた私は7年前、日本で唯一の「ビートルズ文化博物館」を開館。2万点を超える収集品の中から、テーマに合わせた200点ほどを展示しています。

桁違いの天才音楽家集団・ビートルズ

ビートルズとは、まるで213組のグループのトップヒットを集めたような桁違いの天才音楽家集団でした。特にデビュー期の『シー・ラヴズ・ユー』『オール・マイ・ラヴィング』『アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド』など、どの曲も明るく、楽しく、それまで全く聴いたことのない美しいメロディーやリズム感の新しい音楽空間を創り出した彼らは、たった数曲で世界を制覇しました。

ビートルズの魅力は音楽だけではない

ビートルズは音楽のみならず言動でもその魅力を遺憾なく発揮していました。例えばアルバム「ブッチャー・カバー」のデザインは、非常にグロテスクでした。それはなぜか？ビートルズはアルバムも一つの独立した作品としていたのですが、当時のポピュラー音楽のアルバムはヒット曲の寄せ集めでした。そこでレコード会社は売上を上げるために、収録曲をバラバラにして組み合わせを変え、アルバムの発売枚数を増やしました。

このビートルズの意向を無視した暴挙に、彼らはブッチャーという精肉業者の衣装を着て、豚肉をバラバラにした写真を撮って会社に送りました。その写真を使ったアルバムは返品され、写真を入れ替えて再販するなどの大騒ぎになったのです。この、親会社でも間違ったことには異議を唱え、表現の「自由」を主張したのはビートルズが最初だといえます。

音楽、芸術で世界を変える

アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の原色を使った革新的なデザインや収録曲のポップ調で不思議な歌詞等が世界を塗り替え、音楽、詩歌、アート、ファッション、映像等を巻き込んだサイケデリックという一大潮流が生まれました。また、このアルバムでビートルズがミリタリールック（軍服）で登場したのも衝撃的で、日本でも多くのグループサウンズがこの衣装を真似ました。しかしビートルズの軍服はカラフルで、その手には武器ではなく楽器を持っていて、しっかり「平和」のメッセージが発信されていました。

世界初の全世界同時衛星中継の番組にイギリスを代表してビートルズが出演し、3億人が見たといわれる『オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ』は時代の歌となり、破壊や殺し合いではなく「愛」で世界は一つになりました。音楽、芸術で世界を変えて「本当の文化革命」を成し遂げました。世界中の若者がビートルズの魅力ある音楽とともに歌われた、叡智のこもったメッセージに共感したが故の奇跡でした。

存在自体がかっこいい

音楽や言動を通して「愛・自由・平和」のメッセージをうたったビートルズの多大な影響と共感、感動と気づきは、大人と子どもだけだった社会に「No！」を突きつけて、今に続く「主張する若者」文化を生み出しました。

ビートルズには常に一つのメッセージが流れていました。「僕たちはいろいろな曲を創ったけれど全てが『愛』について歌っているんだ」とポールが言うと、すかさずジョンが「つまり全てが反戦歌さ」と言い切る、こうした言動それ自体もかっこいい！それがビートルズの魅力なのです。

ビートルズの魅力、かっこよさを「正の遺産」として伝え遺したい

個人や一国家を超えた、ノーベル財団のような組織化へのご支援を仰ぎつつ、「ビートルズ文化博物館」を世界のビートルズのメッカにしたい。音楽のみならずビートルズのあらゆる魅力を人類のより良き未来への「正の文化遺産」として、子どもたちの、子どもたちの、子どもたちに伝え遺していけたら幸いです。