ラッシュアート 〜マツエクをつなぎ、目元を彩る〜
- 野口 伏美さん/美容師・アイリスト
- お問い合わせ先
スミレ美容室
静岡県賀茂郡東伊豆町稲取450-5
0557-95-2723
https://sumire-eye.jp/
まつ毛エクステンションとの出合い
まつ毛エクステンション、通称「マツエク」は、特殊な接着剤を使って、自分のまつ毛1本1本に人工毛を装着していく韓国生まれの技法です。
私がマツエクに出合ったのが40歳過ぎ。お客さまから「マツエクをメニューに取り入れてほしい」、というご要望がだんだん多くなったため練習をし始めたら、この細かい作業がとても面白く、すぐに夢中になりました。
「もっとマツエクを知りたい」、そんな思いから勉強し、知識を身につけ、2014年には47名中5名しか合格しなかったマツエクの講師資格を取得。欲が出て、「今度は自分の技術を向上させたい!」と思い、マツエクコンテストに参加することを決めました。
私は元々美容室でヘアのサロンワークをしており、過去にヘアのコンテストにも参加し、何度か入賞経験があります。自分の技術向上には、コンテストが1番手っ取り早いという思いから、コンテスターとしての道も必然となりました。コンテストに参加するとなると、嫌でも練習するようになります。そのため、2015年4月の日本大会、5月の韓国国際大会、6月の日本最大級のコンテストと、後先考えずに連続でマツエクコンテストの参加申し込みをしました。
創作を楽しみながら技術を磨く
たくさん練習しましたが、2015年4月の日本大会は賞を取れず、とても悔しい思いで帰路に着きました。「もう、このような思いはしたくない!」という思いから、時間があればとにかく練習をしていました。
5月の韓国の大会には、アイラッシュアート創作部門があり、そこで初めてラッシュアートに出合いました。韓国ではマネキンに創作していくのですが、作品の仕上がりを考えただけでもワクワクし、楽しみながら取りかかると、なんと、創作アート部門で優勝しました。参加人数は500人を超えていたと思います。
続く6月の日本最大級のマツエクコンテストではラッシュアートで高得点をいただき、他の競技も全て上位の点数だったため、5競技トータルで総合優勝し、日本一に輝くことができました。
そこからはコンテストの参加を海外に移し、2018年ロサンゼルス大会4位入賞、2019年カナダ世界大会6競技総合優勝、2020年ニューヨーク世界大会ラッシュアート優勝 特別審査員賞、2021年イタリアラッシュアート2位 審査員特別賞、といくつもの賞を獲得することができました。
ラッシュアートについて
ラッシュアートは、まつ毛エクステンションのカラー人工毛をつなげて、いろいろな形や模様を作っていきます。ビーズやスパンコールをあしらうこともあります。元々細かい作業が好きで、想像することも好きな私は、まつ毛の創作だけでなく、衣装や小物も楽しんで作っています。例えば撮影に使用した「魔法の杖」は、近くの海岸でひろってきた流木をつなぎ、天然石をちりばめて形にしました。
自分が創作した中で1番好きな作品は、世界中が新型コロナ感染におびえていた時期に作った『サニーレタス』です。最初は、ニューヨークのアイラッシュコンテストに作品を提出してみないか、と海外からお声がけいただきましたが、コロナ禍1年目だったのでどうにも動けず、諦めていました。しかし、不思議とアイデアが次から次へと浮かび、仕上がりが想像でき、これは「提出しないで後悔するより、何とかして作った方がいい!」と思い、全て身近にいる人たちに協力をお願いしました。モデルはスタッフ、撮影はお客さまでカメラマンの方がいらっしゃったのでその方に頼み、衣装は手芸屋さんで布を購入して作りました。何を作っても楽しく、わくわくしっぱなしでした。
できあがった『サニーレタス』という作品は、私の中で最高の作品となり、ラッシュアート部門しか参加していないのに、部門優勝の他に審査員特別賞を3つも頂きました。
今後について
もっとたくさんのマツエク施術者にラッシュアートの楽しさを知っていただきたい、という思いから、現在興味のある方々を集めてセミナーを開催しています。おかげで徐々にラッシュアートが好きな仲間が増えてきています。
今後も日本人の繊細な作業と感性を生かし、たくさんの日本人が世界で活躍されることを祈っています。
(無断転載禁ず)