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私の体験

2023年4月掲載

コルクアートとの出合い 〜廃棄されるコルクを利用して新たな価値を創造〜

久保 友則さん/Atelier Cork & Tipオーナー シニアソムリエ/コルクアーティスト

久保 友則さん/Atelier Cork & Tipオーナー シニアソムリエ/コルクアーティスト
お問い合わせ先
Atelier Cork & Tip
〒111-0023 東京都台東区橋場1丁目36-2
https://corkart.thebase.in/
ワインとの出合い

22歳の時にワインバーのソムリエ見習いのアルバイトをきっかけに、ワインの仕事に惹かれるようになりました。当時はまだインターネットが今ほど普及していなかったため、ワインのマナーや情報は、本場に滞在した経験者から学ぶことが主流でした。レストランでサービスの仕事をしながら世界最優秀ソムリエの田崎真也氏のワインスクールに通い、25歳でソムリエ、30歳でシニアソムリエの資格を取得しました。

その後レストランやワインバーで仕入れやワインリスト作りなどの管理、ワインの提供を担当しました。30代からはフランスワインの直輸入・販売の会社に転職し、ワインの買い付けや顧客向けの特別なワイン会、セミナーなどのイベントを積極的に開催していました。

コルクアートを始めたきっかけ

ワインバーやレストランでソムリエとして働いていた際に、毎日たくさんのワインが消費され、同時に瓶やコルクなどの廃棄物がたくさん生まれることに気づきました。そこで、ただ捨てられてしまうだけのコルクを集めて、新たな価値を生み出そうと思い、コルクに染みたワインの自然な色合いを用いて、点描画の要領で「肖像画を描いてみよう」と思いついたことがコルクアートの始まりです。

コルクアートの魅力

私は「ワインのある暮らし」に憧れを持っていました。そしてそれを職業にすることを選び、続けていく中で、日本にはまだなじみがなく専門的であるがゆえに狭くなってしまう世界や飲食業界の中での競争、差別化、資本主義から自由になりたいと思っていました。廃棄されるコルクに目が向き、コルクアートを始めたのはある意味、逃避行だったのかもしれません。

しかし、私は飲食業界やソムリエたちの切磋琢磨(せっさたくま)から脱落して競争から逃げていくうちに、「共創」にたどり着きました。私の初志である「ワインのある暮らしを楽しいものにする」ことは、ワインを楽しんだ方々とともにコルクを集めて描くコルクアートを通じて、今も守られていると感じています。

著名人の肖像画を描いたときは、ご本人の目に留まり感謝の言葉をいただくこともありました。コルクアートをしていなければ出会えなかった方々がたくさんいるように感じています。

今後の展望

現在の取り組みは、9年間の活動を通じて集まった皆さまの善意を、地域やご依頼主にコルクアートとして還元することです。ワインソムリエとしての仕事に限界を感じ、コルクアートに出合ったことで新たな価値が生まれ、コロナ禍でも自身のお店を持つことができました。お店はアートギャラリー・ワインバー・ワインショップの三つの機能を持ち、「Atelier Cork & Tip(アトリエ・コルク&チップ)」と名付けました。

今年は、著名人への誕生日プレゼントや伝統工芸職人の祝賀会展示作品など、お祝いの場への贈呈品として選んでいただく機会があります。多くの方々からいただいた応援や支援を、垣根を越えてより多くの方々に届けていきたいと思っています。

  • Atelier Cork & Tip 店内の様子

    Atelier Cork & Tip 店内の様子

  •  女優オードリー・ヘプバーンのコルクアート

    女優オードリー・ヘプバーンのコルクアート

  • サッカー元日本代表監督フィリップ・トルシエ氏より依頼があった作品

    サッカー元日本代表監督フィリップ・トルシエ氏より依頼があった作品

  • コルク裏に染み込んだワインの色の濃淡を利用して肖像画を描く。1枚あたり約2400個のコルクを使用する

    コルク裏に染み込んだワインの色の濃淡を利用して肖像画を描く。1枚あたり約2400個のコルクを使用する

(無断転載禁ず)

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