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私の体験

2022年5月掲載

世界で一つしかないコレクション〜名前入りカセット〜

関 純治さん/名前入りカセット博物館 館長

関 純治さん/名前入りカセット博物館 館長
お問い合わせ先
名前入りカセット博物館
https://bonusstage.net/famicassearch/
名前入りカセット博物館を始めたきっかけ

私は名前が書かれたゲームソフトを保護し、それらを元の持ち主に返すという趣味の活動を行っています。その活動開始に至るまでを簡単にご紹介させていただきます。

初めはプレイしたことのないゲームを「やるため」、「知るため」

私が10代後半の頃、ファミコンはハードとして晩年期を迎えており、ファミコン用カセットは、捨て値で売られていました。現在、年々高騰しているレトロゲーム。今のコレクターからみれば夢のような時期です。そのような時期だったこともあり、少ない資金でプレイしたことがないタイトルを安価にたくさん入手することができました。

ふと気がつけば、数百タイトルを所有しており、コレクション意欲が高まって、「せっかくだから全種類集めてみるか…」と本格的にゲームソフトを収集するようになりました。

その後のコレクションは充実していき、全種類コンプリートするまであと150本程度までになった頃、いくつかの大きな壁にブチ当たりました。

「見つけても買えないストレス」と「隣の芝が青すぎる」問題

この頃、私の未所有ゲームソフトは「レア」と呼ばれるモノが多くを占め、入手に金額的な負担も大きくなっていて「せっかく、見つけても買えない」という、ストレスを受けるようになっていました。さらにインターネットが一般にもだいぶ普及してきており、ブログ等で個人からの情報発信も活発化しはじめていて、「ファミカセ全種類集めた!」という人たちの存在も確認するようになりました。私はそういった人達と特に競っていたわけではなかったですが、そのような存在を目の当たりにし、コレクションへの意欲は日々失われていきました。

また、当時のコレクションは見知らぬ土地へ遠征し、ゲームショップや玩具店を訪問し、未所有のものを探す宝探し的な楽しさもあったのですが、この頃はインターネット上のショップやオークションでお金を出せば、欲しいゲームソフトがだいたい手に入るようになってきていて、わざわざ出かけて探す必要もなくなり、遠征する楽しみ方もなくなってきていました。

ここまできて、引き下がるわけにもいかない!

こういった環境になったことでコレクターにとって真剣に考えてはいけない致命的なこと、「これを集めて何になるの?」を考えるようになり、コレクションのモチベーションは急低下。このままコレクションから手を引くのも一つの道でしたが、「ここまできて、引き下がるわけにもいかない!」とギャンブルにハマって抜け出せない者のように引き際を見定められず、その問題を見ぬふりをして惰性(だせい)でコレクションをする日々が続きました。しかし、「ある日」の出来事でその問題が解消され、新しい道が開けます。

集めるべきはこっちだった!

ある日、アメリカのあるゲームショップで、英語で名前が書かれた中古のNES(ファミコンの海外版)に出合いました。当時、ゲームソフトに名前を書くことは日本独特の風習と思い込んでいた私にとって、そうでないことを知ったこの出合いはとても衝撃的なものでした。そしてその時、唯一無二の「名前が入ったカセット」こそが世界に一つしかない貴重なゲームソフトであり、コレクションするべきモノだと思うようになったのです。その後、コレクションは名前入りのモノを集めるという形に進化しました。そして、この「進化」により近年抱えていたコレクションにおける問題等も解決されました。

①ネットで好きな時に買えばいいじゃん問題
 世界に一つしかない唯一無二のモノであり、また店に行かないと名前があるかどうかわからない場合があるため、行く必要がある。

②コレクションが進まない問題
 基本的に「状態が悪い」ジャンク商品扱いで安価に入手可能。また、一般のコレクターと取り合いにならない。

③隣の芝が気になる問題
 同じことをしているライバルはほぼいないと思われ、つまらないことを気にせず気楽に収集できる。

こうして、これでさまざまな問題が全て解決し、名前入りカセットのコレクションが始まったのです!…と言いたいところですが、ピースはまだ一つ欠けていました。

「収集」から「保護」へ

新たな目標ができましたが、「集めてどうするの?」という根本的な問題がまだ残っていました。しかし、答えはすぐに見つかりました。集めた名前入りカセットを見ていると、この持ち主はこのゲームをどうやって手に入れ、どうして手放したかが、とても気になりました。いい思い出もたくさんあったと思います。そして、元の持ち主もまた自分の手元に戻ってきたら喜ぶんじゃないか?とも考えました。また、本人に戻せば、そういった話を聞けるのでは?とも。

こうして、名前入りカセットを集めて、それらをネット上に公開し、元の持ち主を探す「名前入りカセット博物館」が立ち上がりました。

「収集」でなく「保護」という、私にとって目的と意味がある理想的なコレクション形が完成したのです。その活動は現在も続けており、少しでも多くの人に、自分のカセットと再会し、喜んでもらえたらと思っています。

ご興味があれば、この機会に是非、「名前入りカセット博物館」のWebサイトへ訪問してみてください。あなたのゲームソフトに再会できるかもしれません。

  • コレクションを始めるきっかけとなったカセット

    コレクションを始めるきっかけとなったカセット

  • 名前入りカセット

    名前入りカセット

  • 名前入りカセット博物館のリアル展示をした際の会場の様子。ギャラリーの壁一面にカセット約1000点が展示された

    名前入りカセット博物館のリアル展示をした際の会場の様子。ギャラリーの壁一面にカセット約1000点が展示された

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