ご主人に優しく教えてあげて
- 坂井 二朗さん/おじさん専門イメージコンサルタント、フィッター、テーラ
- 新卒入社した富士通を2024年10月退職。在職中よりビジネスパーソンの視点で服装を “お洒落” でなく“コミュニケーションツール”として取り入れる男性を増やし、それによってウェルビーイングな社会を実現したいと、セミナー・研修、個人コンサルを行っている
今年33年目になる会社員生活の傍ら、およそ半分の16年間はイメージコンサルタントとして活動してきた。特に男性、とりわけミドルシニア以上=おじさん専門のコンサルタントとして。イメージコンサルタントとは、ノンバーバル(非言語)コミュニケーションのあらゆる要素を用いてクライアントのイメージアップを支援する仕事だ。私の場合、世のおじさんたちの多くが不得手、もしくは無関心な服装や美容をメインで扱う、平たく言うとビジネス寄りのスタイリストになるだろうか。
日本では家も学校も誰も教えてくれないこと、その一つが”洋服の着方“だ。学校ではむしろ誤った知識をすり込んだりする。また人間大事なのは中身・精神だ!男たるもの見かけを気にするなんて軽薄!軟弱!!このような価値観が今なお、おじさん世代にはあるように思う。
そんな訳で、洋服の正しい着こなしを知らない日本のおじさんたち、決して彼ら自身が悪いのではない。知っている方が珍しい…言ってみれば変わり者なのだ。自分はその変わり者の1人だと強く感じたのは今の会社に入ってから。でもそれを知ることはビジネスパーソンにとって必要なことだと思い、なるべく多くの人に正しい洋服の着方を伝えなければと…私は隣の先輩や窓際に座る上司をそんな風に眺めていた。
ラッキーなことにファッション業界を担当する営業として長く働けたことで洋服好きに拍車がかかり、かつ40歳を目前に超ニッチであるものの、イメージコンサルタントという職業が存在することを知った。そこでの仲間との研さんやビジネスパーソンとしての日々の実践により、私には世のおじさんたちに心から伝えたいことがある。
もし、これを読んでくださるあなたが普通のおじさんの奥さまなら、もしくはあなたの周りに普通のおじさんがいたら、ダサいカッコ悪いと言わず優しく教えてあげてほしい。難しいことはなくお金も時間も掛けなくて良い。これだけを守ってくれれば…
まずはこの二つ。(1)自分の体形や身体のサイズを知り、ジャストサイズで着る。←これだけで8割成功、無闇(むやみ)にLサイズを選ばない。(2)色や柄を多用せず極力シンプルを心掛ける。←白に勝る色はなし。無地に勝る柄はなし。
もう一つアドバイスするならば、(3)下半身(パンツの形や長さ、靴と靴下の選び方)にこそより気を配る。
たったこれだけであなたのご主人や周囲の男性は見違えるようになるだろう。男性のスタイルはそもそもアイテムが決まっていて女性のように流行が大きく変わることもない。オーソドックスなものを清潔に保ち、身に着けるだけで良いのだ。
仕事柄同年代以上の女性との関わりがとても多いが、おじさんと比べると圧倒的に彼女たちは元気でイキイキしていると感じる。われわれおじさんも負けていられない。
長く生き社会と関わる時代、誰もがすっきりサッパリ、明るく楽しく生活していれば、日本はもっと元気になる!そう信じている。
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