連載コーナー
本音のエッセイ

2023年10月掲載

私がウェンディに出る理由

矢野 宗宏さん/ユーモアコンサルタント

矢野 宗宏さん/ユーモアコンサルタント
関西大学法学部在学中、落語研究会にて会長を務める。卒業後、八光信用金庫に入庫。金庫内にお笑い研究会を旗揚げしTV・新聞に数多く取り上げられる。2002年にユーモアコンサルタントとして独立。内閣府の生活達人にも選出される。日本笑い学会理事。

2002年9月、4半世紀も勤めた信用金庫を辞めた。支店長をしていたのに、笑いの大切さを伝える仕事をするフリーランスのユーモアコンサルタントとして独立したのだ。「自分の夢に向かって羽ばたいたのです!46歳のときでした」。これは、講演用のカッコイイ言い方。本当は、店の目標数字の厳しさに、日々ヘトヘトになっていたところに、私を引き上げてくれた実力者の役員が事情があって退任してしまったのだ。出世の道が閉ざされた。だからといってユーモアコンサルタントなんてやっていけるのか?これがまた、やっていけた!すぐに、多くの講演やセミナー、研修の講師の仕事をいただけるようになり、給与所得者と個人事業者を単純に比較できないが、支店長時代よりも多くの年収を得た年もたくさんあった。

それが2020年の春、新型コロナウイルス感染拡大により、1年半先まで決まっていた仕事が全てキャンセルとなった!ユーモアコンサルタントは、見事に三密の仕事であった。フリーランスは、仕事がゼロになると収入もゼロになるという恐怖も初めて体験した。「オレも、もう終わりや」。ガクッときた。仕事もないし、不要不急の外出もできないから、家に悶々と引きこもる。精神的にどんどん落ち込んでいく。7月に母が亡くなり8月に親友が亡くなる。ますます、精神的に落ち込んでいく。講演では、「つらいときや苦しいときこそ大笑いをするのです!すると元気が湧いてきます!」などと言っていたが、皆さん、すみませんでした、私、笑えませんでした。

私が、こんな精神状態から抜け出せたきっかけは、文字どおり、家から一歩踏み出したことだ。ある朝、庭に出て草花に水をやる。心が軽くなる。次の日も水をやる。さらに心が軽くなる。ふと、思った。こんな生き方て楽やなあ。コロナ禍も悪いことばかりやないで。持続化給付金ももらったし、来年から年金も満額もらえる。仕事がなくても餓死するわけやない。今までは、お金を生き方の基準にしていたけど、これからは、「好きなことはやる、嫌いなことはやらない」を生き方の判断基準にしよう。

学生時代は、関西大学の落研で青春を謳歌(おうか)したので、今は、もっぱら後輩が主催する素人落語会に出演して楽しんでいる。落語ができればどこでもいいというわけでもない。近所に住む素人落語をする人が、私に出演料を出すから出てほしいと何度も言ってくれる。さすがに、「あんたのこと嫌いやから」とは言わないが出ない。皆さん、どうしてこのエッセイを書いていると思います?それは、ウェンディのことが大好きやからです!これ、ほんま!

(無断転載禁ず)

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