連載コーナー
本音のエッセイ

2023年8月掲載

誹謗中傷は「どうでもいい」

後田 亨さん/保険コンサルタント

後田 亨さん/保険コンサルタント
1959年生まれ。1995年、会社員から転職した大手生命保険会社と乗合代理店で約15年、営業職を経験。販売員と顧客の利益相反を問題視し、2012年に独立。執筆・講演・有料相談に従事。著書・メディア掲載多数。動画はNewsPicks「2Sides」がある。

「SNS上の罵詈(ばり)雑言とか、メンタルやられたりしないですか?」取材やセミナーの場でこのような質問を受けることがあります。私は各種媒体で「生命保険の利用は必要最小限が望ましい」と発信しているせいか、利害関係者からのバッシング等について尋ねられるのです。

たしかに十数年前、初めて誹謗中傷と感じる投稿に接した時は、激しく動揺しました。ただ近年は「どうでもいい」と思っています。「人は他人を見たいように見る」と認識しているからです。

例えば、ある媒体に「保険会社の人たちは、『医療保険』『がん保険』などに加入したがらない。健康保険で医療費の自己負担には上限があるからだ」と書くだけでも実感します。「保険否定論者に保険を語る資格はない」「消費者目線がうれしい」といった声が届くのです。

正直、どちらも自分のことではないと感じます。まず「保険否定論者」という人は読解力が不足しています。私は保険を否定したことはなく、「手数料が分からない商品」や「不安をあおる販売手法」を問題視しているからです。また「消費者目線」も理解できません。一言で消費者といっても、安心感第一、合理性重視など人それぞれで、ひとくくりにはできないと思うのです。

ともあれ、同じ一文を読んで、ほとんど真逆の感想を持つ人たちがいるわけです。いちいち修正を求める気にはなれません。実際「他人に対する論評には論者自身が色濃く映る」のだと思います。

例えば、Aさんという人の「『保険には入らないほどいい』って。後田さん、ウケ狙いの極論はアウトです」という発言からは「Aさんは『原則』と『極論』を同一視しているうえに『極論はウケる』と考えている」ことが分かります。

私はどんな発信をする時でも極論は避けます。グレーゾーンを無視した発信は突っ込まれやすいと思うからです。したがって、Aさんの評価からは(評価の対象になっている)私よりも、Aさん自身の考え方や限界が透けて見える気がするのです。おそらく(私を含め)誰もが、他人や他人の行為について語りながら、「自分」をさらしているはずです。そうであれば、各自、自由に、できれば慎重に語るといいと思います。

最後に、敬愛する忌野清志郎(敬称略)が歌った歌詞の一節を引用しておきます。

「他人の目を気にして生きるなんてくだらない事さ」

私は、せいぜい自己評価が甘くならないように気をつけながら、時間を大事にして日々を過ごしていくつもりです。

(無断転載禁ず)

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