連載コーナー
本音のエッセイ

2023年7月掲載

幸せを感じたかったら

児玉 光雄さん/臨床スポーツ心理学者

児玉 光雄さん/臨床スポーツ心理学者
1947年兵庫県生まれ。京都大学卒、カリフォルニア大学ロサンゼルス校大学院卒。追手門学院大学特別顧問。著書は『大谷翔平 勇気をくれるメッセージ80』『大谷翔平86のメッセージ』『ゴルファーの潜在能力を開花させるマインドセット革命』など200冊以上。

私は現在75歳。最近若い頃には感じなかった時間の大切さをひしひし感じるようになった。幸いこの歳まで、大病をしたこともないし、入院した経験もない。こんな丈夫な体に産んでくれた両親に感謝したい。

これは当たり前のことであるが、私たちがこの世に別れを告げる日は必ず来るが、それは誰にも分からない。分かっていることは、「毎日着実にその瞬間に向かって時間は減り続けている」という事実である。

お金の大切さは誰でも認識しているが、時間の大切さを認識している人はそれほど多くない。お金は貯めることができるが、時間は貯めることができない。だから、必死になって目の前を通り過ぎていく時間を有効に使わなければならない。

最近アメリカで、「感情」や「ストレス」という指標で年収と幸福度の相関関係が調査された。その結果、「幸福度は年収4万ドル(約560万円)までは右肩上がりに上昇するが、それ以降カーブは緩やかになり、年収7.5万ドル(約1050万円)でピークに到達し、それ以降は右肩下がりになる」という事実が判明した。つまり、幸せはお金では買えないのだ。

これはあくまでも私の考えであるが、幸せを感じたかったら、単純にささやかな幸福感を味わえる時間を増やせばいいのだ。これまで私は睡眠や食事以外の時間の多くを仕事に使ってきたが、これからは幸福感を味わえることを最優先して最大限このことに時間を使っていきたいと思っている。

今私がハマっているのは、孫との駆けっこである。この間も孫である小学1年生と小学3年生の男の子と近くの公園で20メートルの駆けっこをしたが、完敗である。上の孫はもちろん、下の孫にも負けてしまった。しかし、こんなひとときに、私はとても幸せな気持ちになる。

この間六甲山の麓にある神社まで孫たちと坂道を登る競争をした。最寄りの駅から神社まで1.2キロの急勾配が続いている。これを30分かけて登る。これも2人の孫に完敗である。登り終わって神社のベンチで息を整えていると、「じいじも衰えたね。仕事ばかりしていないで、もっと体を動かしてね!」と、孫に励まされる始末。

実際この山登りで自分の体力の衰えを実感して、すぐに自宅近くのフィットネスクラブに入会した。次の週末の孫との六甲山の山登りの対決が楽しみである。

(無断転載禁ず)

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