連載コーナー
本音のエッセイ

2020年9月掲載

「二日酔い」に反省は効かない

鎌田 孝さん/酒匠&北海道ソムリエ

鎌田 孝さん/酒匠&北海道ソムリエ
北海道産酒BARかま田オーナー。北海道産酒啓蒙の第一人者であり、テレビ、ラジオ、講演、セミナーなどを通じて「国酒(日本酒&焼酎)」の魅力を発信し続けている。世界きき酒師コンクール2012にて大会初の、日本酒部門と焼酎部門のダブル準優勝受賞。

私が日々ネオンに癒やされながら過ごす街。酒飲みなら誰しもが知る北の歓楽街「すすきの」。

ひと昔前なら、寿司折を片手にこれでもかと左右に揺れに揺れている昆布のような泥酔のオヤジたちを見かけたものだ。そんな筋金入りのオヤジたちに最近ほとんど出会うこともなく、妙に寂しいものだ。

昨今は「パワハラ」「モラハラ」などとか言われ気軽に酒を酌み交わす誘いも気まずい時代になった。私は還暦間近だが若いころは諸先輩から「酒は飲んで鍛えろ!酒の一つも飲めないと出世せんぞ!」と何度も飲むたびに言われたものだ。ある意味恐ろしい時代にどっぷり浸かっていたのかと今は思うが、当時はそれが当たり前の世の中でもあった。

ちなみに酒豪のみならず多くの酒飲みを反省の窮地に追い込む「二日酔い」だがその元凶はなぜか「国酒」でもある日本酒がターゲットにされることが多い。

威勢の良い居酒屋で「取りあえずビール!」と叫び、2軒目のスナックでは魅惑の女性を前に鼻の下をこれでもかと伸ばし流行りの「ハイボール」。そして〆は、断り切れない曲者の上司と3軒目…。そこで得てして真打「日本酒」が登場するわけだ。

当然のごとく反省しきりの朝が訪れる。なんともかわいそうだが最後に登場した「日本酒」がその全責任を取らされる役回りとなる。医学的に「二日酔い」の原因は1つ。アルコールで麻痺した脳みそが誘導する自制心の利かないただの「飲みすぎ」である。決して最後の方で駆り出された「日本酒」だけが悪者ではない。

本来、我々は世界的に少数派のアルコール分解能力が著しく弱い遺伝子を持つ民族であり、酒に弱い人の割合は実に約4割以上と言われている。つまり酒量に明らかに個人差があるのだ。幸い私は遺伝子的に南方系の人種の血を引いているらしく酒にはめっぽう強い。酒の仕事に携わる身としては神様がくれた「天職」に他ならなく感謝感謝の日々を送っている。

ただし、飲む時には二日酔い防止に効く「水」を多量に飲むようにし脱水を起こさないように努めている。そして油物やたんぱく質系の食べ物をちょこちょこと食しながら空腹では絶対に飲まない。最後に年に1度以上の「定期健診」も欠かさない。

たったこれだけで国酒「日本酒」も悪者にされず、酒道を極め、酒飲み人生をふらつくことなく、襟を正しつつ、すすきのを歩くことができている。

しかしながら深酒した宵には寿司折ならず、流行りの菓子なんぞをたまにぶら下げて帰った方が確実に良さそうだ。

ただ、いまはコロナ禍で飲み歩きもままならない。終息はいつになることやら…。

(無断転載禁ず)

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