連載コーナー
本音のエッセイ

2018年1月掲載

3回くらい結婚してもいいのでは?

池内 ひろ美さん/夫婦問題評論家

池内 ひろ美さん/夫婦問題評論家
1961年岡山市生まれ。結婚2回・離婚1回・一女の母。八洲学園大学教授。一般社団法人日本女子力推進事業団(ガールパワー)代表理事。内閣府後援女性活躍推進委員会理事。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。
公式ウェブサイト
http://ikeuchi.com

夫婦問題のご相談にあたって二十余年、相談件数は3万7000件を超えた。悩みを抱える人の主訴は浮気・暴力・離婚がほとんどであるが、今の時代であっても、浮気の悩みよりも暴力の苦しみよりも離婚のハードルはとても高い。「相手の言動が変わりさえすれば離婚しなくてすむのに」と意味不明な願望を持ち責任転嫁する人すらある。過去と相手は変えることができませんよと伝えても、「離婚だけは絶対にしたくない」と相手を心底恨みながらがんばる人もある。不毛だ。

結婚は1度だけするのが本当にいいことなのだろうか。日本では男性の4人に1人が生涯1度も結婚しないだろうとの政府統計があるため、1度でも結婚できるのは素晴らしいことだし、ひとたび結婚したら生涯添い遂げるものとする文化も理解している。しかし、いや、だからこそ、それを踏まえた上で私が提唱しているのが「結婚3回説」でもある。

結婚3回とは何かといえば、最初の結婚は、もとの家族の息子あるいは娘として育ち、一人前になった証しとして結婚し夫・妻となるもの。いってみれば「親のための結婚」でもある。

2回目の結婚は、子どもを持ち父親・母親となってそれなりに長い時間をかけ子育てを行い、子どもが家から巣立つまでを見守る「子のための結婚」である。

そうして親と子どもへの責任を果たした後の3回目の結婚こそが、一人の男性・一人の女性として「自分自身のための結婚」ではないだろうか。

この、1回目から3回目までの結婚が同じ相手と途切れることなく行うことができればいわゆる幸せと呼ばれるものだろうし、届出をする必要もなく戸籍が変わることもないが、相手を間違えたと確信したときには、相手が「変わる」ことを望むのではなく、相手を「代えて」もいいのではないか。

「夫としてはいいけれど、子どもの父親としては最低」という場合は2回目の結婚で父親となるにふさわしい人を見つければいいし、「子育て中は気にならなかったけど、この女と老後を過ごすのは死んでも嫌だ」という人は、死ぬまでの大切な時間を穏やかに過ごせる人を見つけて3回目の結婚をすればいい。それは一方的な破棄ではなく、それぞれが成してきた言動の結果として表れることであって恨み節はよくない。

まあ、1回か3回か、その選択は個人の価値観に任せるしかないが、命が尽きるとき「この人と一緒にいてよかった」と思える相手と大切な人生を過ごしてくださいということですね。

(無断転載禁ず)

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