あふれる食情報
- 中沢 るみさん/管理栄養士・野菜ソムリエ協会講師
- 「個人の能力を最大限発揮できるようになる食べ方」「自分を知り、カラダもココロも元気になる食べ方」などのセミナーを開催。ストレスなく・すぐに実践できる・自分にあった「食べ方のコツ」を伝えている。著書に『野菜の新常識 体にいい食べ方はどっち! ?』などがある。
私は「食を通じた健康づくり」や「ダイエット」、「アンチエイジング」についての講演や企業へのアドバイスを行う仕事をしています。
皆さんは、本やテレビをはじめさまざまな媒体からいろんな情報を入手されていますので、私の講演でも、よく「○○を食べれば、健康・ダイエット・アンチエイジングに良いとテレビで放送されていましたけれど、本当のところどうなんですか?」という質問を受けることがあります。
でも、実際に「○○を食べればすべてうまくいく」ということはありません。おそらく、本やテレビ番組は注目を引くために、ワンフレーズで「○○を食べればうまくいく」ということを分かりやすく伝えるためにそのようにしていると思います。
でも、皆さんがよくご存じのとおり、実際に食事は、炭水化物・タンパク質・ビタミンなどのバランスが大事なのです。でも、専門家が「食事は、バランスが大事なんですよ」と言っても、あまり注目されることはありません。
栄養バランスも大切なのですが、「自分を知り、カラダの声(ココロの声)を聴いて、カラダが欲しているものを食べる」ことが本当は大事だと思っています。
「ダイエット」の一番の敵は「ストレス」です。食べたいものを我慢すること自体「ストレス」になるので、我慢は大敵です。ストレスを感じたり、健康情報に振り回されていると、自分のカラダが本当に必要としているものが分からなくなってきます。
でも、「食べたいものを食べる」上で、1つだけ条件があります。それは「ゆっくり食べる」それも五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)を研ぎ澄ましながら食べることです。そうすると自分のカラダに必要なものが分かるようになってきます。
そうなれば、しめたもの!食の情報に振り回されることはなくなります。
さて、本当においしい物って何でしょうか?高価な食材を使った高級レストランで食べる食事でしょうか?もちろん、それもおいしいと思います。でも本当においしい物って、仕事でも趣味でも運動でも何でもよいのですが、一生懸命に何かを成し遂げて、おなかが空いたときに食べたり飲んだりすることや、気の合う友人と久しぶりに会って楽しく一緒に食べたり飲んだりすることではないでしょうか?
これまで申し上げてきたことは、「当たり前だ。そんなこと分かっているよ」と言われるかもしれません。
でも専門家の私たちは、その当たり前の本音がなかなか言えないのです。
社会から注目されない、皆さんが当たり前と思っていることが、本当は最も本質をついているのかもしれません。知識や情報は持っておいた方がよいとは思いますが、情報に振り回される前に、自分を知ること(カラダやココロの声を聴くこと)、「当たり前」と思うことを続けること、これが健康に良いのではないかと思います。
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