連載コーナー
本音のエッセイ

2016年11月掲載

「三人娘」は、なぜ男ゴコロを惹きつけるのか?

石黒 謙吾さん/著述家・編集者・分類王

石黒 謙吾さん/著述家・編集者・分類王
映画化された『盲導犬クイールの一生』をはじめ、『分類脳で地アタマが良くなる』『2択思考』『図解でユカイ』『エア新書』『ダジャレ ヌーヴォー』など幅広いジャンルで著書多数。プロデュース・編集した書籍も、『ジワジワ来る○○』『負け美女』『ザ・マン盆栽』『読む餃子』など200冊以上。

喜多川歌麿の版画に「当時三美人」という作品がある。寛政時代の美人3人を描いた上半身のポートレイトだ。日本髪の三人娘が上に1人、下の左右に1人ずつ。その絵を初めて見た瞬間「キャンディーズだ!」と思った。1978年4月に解散したアイドル3人組の、まったく同じ構図のポスターを高校生のころ、部屋に貼っていた。キャンディーズがデビューした1973年、中1からファンになり、高校入学と同時に本気の「おっかけ」となって、バイト三昧でお金を貯め、解散までの2年間で、金沢から全国をかけまわって100ステージ観たほど。青春のすべてだった。そんな僕だから、三人娘というくくりには特別な思い入れがあり、なぜ昔から、男は三人娘に惹かれるのかと思いを巡らせている。

戦後、三人娘はたくさん現れた。「美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみ」から始まり、「南沙織、小柳ルミ子、天地真理」、「森昌子、桜田淳子、山口百恵」の中三トリオ、わらべ、少女隊、ribbon、Mi-Ke、プッチモニ……。海外から、ザ・スリー・ディグリーズ。そして今、人気絶頂、Perfumeのライブには何度か行っている。さらに昨日は、初めてBABYMETALのライブを観てきた。MC一切ナシ、アンコールナシ、いまどきこんな短いのという90分。それでも凄まじい熱量と最新のステージワークで引き込むライブだった。日本芸能界の三人娘の歴史や違いについて書くと軽く本1冊になってしまうが、ひと言で言うと、多様化しつつどんどん進化し続けている。

三権分立など政治や経済にも関わる「三すくみ」という状態、代表例はじゃんけん。これは、力関係的に身動きが取れなくなるさまのことだけど、三角形というバランスにはもっと不思議なパワーがあるのだと思う。三人娘が必ず三角形のポジショニングを取るわけではなく、だいたい横に並び、ステージではさまざまなフォーメーションになる。けれど、人が3という数字の対象に目を向ける時、度合いの差こそあれ、「好み」は意識しているはず。それは必ずしも他の2者が見えなくなるのではなく、きっと、円グラフを3等分するように、好みのバランスを取っているんじゃないか。脳科学も心理学も素人だが、好みを意識するからこそ他の2人へも好意が芽生え、3人そろっている姿に惹かれていくのではと思う。

キャンディーズの3人が好きで、「ラン5、スー2.5、ミキ2.5」の配分でステージを観ながら、でも、やはり3人そろって10なのであって、ランだけでは10にはならない。というか、円グラフそのものの絶対量が20になり、「ラン10、スー5、ミキ5」に増幅する感じ。そんなことを、昨日、BABYMETALの3人が飛び跳ねる東京ドームで考えていた。

(無断転載禁ず)

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