連載コーナー
本音のエッセイ

2016年3月掲載

こどもから大人まで、みんなが歌える歌を

新沢 としひこさん/シンガーソングライター

新沢 としひこさん/シンガーソングライター
1963年、東京都生まれ。神戸親和女子大学・中部学院大学 客員教授。元保育園勤務。全国で保育講習会、コンサートなどを行う。作詞『世界中のこどもたちが』『にじ』など。作曲『はらぺこあおむし』『さくらさくらようちえん』など。絵本、エッセイ、児童文学の執筆なども行っている。

僕はこどもたちが歌う歌を作るという仕事をしているシンガーソングライターである。幅広いジャンルの歌を作るので、聴く対象が大人に限定される歌も作っているのだが、仕事の多くはこども関係で、保育園、幼稚園、こども園、小学校などで歌われる歌をいろいろ作っている。

この時に「こどもの歌」となるべく言わずに「こどもが歌う歌」と言うようにしている。本当は「こどもから歌える歌」と面倒くさい表現で言いたいくらい。つまり、こどもだけが聴く対象の歌にしたくない、という気持ちがそこに入っている。

いわゆるこども用のものというのは、こどもが使うためだけにできている。こども服を大人が着ない、というように。「こどもが歌う歌」というのも、ほとんどがそういう考えで作られる。

♪うさぎさんがでてきた ピョンピョンピョン おひさまニコニコ こんにちは~♪
みたいな歌を、大人は鑑賞しないと思う。小さなこどもにはこのような歌がちょうどいいだろう、と大人が提供してあげるのが、いわゆる「こどもの歌」なのだ。

僕はできれば、大人も聴いたり、歌ったりしたくなるような、歌を作りたいと思う。簡単で分かりやすい、つまりこどもにも分かる、けれど、大人が聴いても良い歌だ、と思えるような歌が作りたいのだ。こどもはこどもなりの短い人生経験の中で、解釈し鑑賞し、大人は大人でいろいろ感じるところがあるような、そんな歌を作りたい。

たとえば、「きみとともだちになった」というフレーズがあるとする。こどもはこどもなりに、大人は大人なりに自分の「ともだち」をイメージできたら良いと思うのだ。それがもし、ちゃんとできれば、それは「こどもの歌」ではなく「こどもから歌える歌」、つまり「こどもから大人までみんなの歌」になると思うのだ。

ユニバーサルデザインという考え方がある。障害を持った人にも使いやすいデザインだ。しかし、ユニバーサルデザインは使う人を障害を持った人に限定しているわけではない。すべての人にとって使いやすいものを目指して作られている。

握りやすい取っ手、回しやすいハンドル、小さな力で開けられるフタ、片手で動かせる道具、それらは障害を持った人だけでなく、こどもや、高齢者にだって使いやすい。障害がない人にとっても便利なものだ。

歌だって、そういうユニバーサルデザインのような考えのものがあってもいいように思う。こどもに分かるシンプルな言葉で、大人にも「ああ、そういうことってあるよな」と思えるような歌が作れたら、それはきっと世代を超えた、みんなに歌われる歌になる。

そんなことを夢に見て、僕は歌を作っている。こどもから大人まで、みんな歌えるユニバーサルソングを目指して。

(無断転載禁ず)

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