「頑張るビリギャル」 ひと一人の力ってすごい!
- 坪田 信貴さん/坪田塾 塾長
- 1300人以上の子どもたちを個別指導し、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。処女作の『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』は120万部の大ベストセラーになり映画化もされた。第49回 新風賞受賞。名古屋市在住。
STORYS.JPというインターネットのサービスに、「ビリギャル」の原案を投稿して約2年が経過しました。別に本にしようと思って公開したわけではないのですが、結果的にミリオンセラーとなり、映画化されました。観客動員数も200万人を突破したとか。
その間、僕の周辺環境は劇的に変化しました。2冊目の出版依頼が、60社を超えました。お昼の情報番組のコメンテーターや、関西の有名ラジオ番組でレギュラーをさせていただいてもいます。街を歩けば、「握手してください」と言われ、「ギャルの人ですよね?」と声をかけられます。僕が情熱大陸でやたらとカツカレーを食べるということが紹介されてからは、「カツカレーの人ですよね?」と声をかけられることすらございます。
『僕はギャルでもカツカレーでもありません!』そう言いたいのはやまやまですが、これも一種の愛情表現だと認識して、「あ、はい。お恥ずかしながら」と返事をしています。「先生うんこ!」と手を挙げる小学生に、「先生はうんこではない!」と返事をする学校の先生の気持ちがよく分かります。
2年前までは、誰からもサインをねだられるようなことはありませんでした。でも、2年前も今も、そんなに変わりません。急に顔がトムクルーズに似てきたなと思う瞬間がないわけでもないですが、足の短さはやはりコーギー犬並みだし、へん平足だって変わらないし。カツカレーはずっと食べているし。友達は少ないし……。
すなわち、僕が変わったのではなく、周囲が変わったのです。
よく、「人生が変わったでしょう?」と言われるのですが、人生が変わったのではなく、周りの人たちの僕に対する扱いが変わりましたと答えています。
先日、「ビリギャル」の主人公、さやかちゃんに言ったのですが、「ひと一人の力ってすごいね。だってさ、君が頑張ると決めて、一所懸命やったからこそ、周囲のひとの心を動かした。今やそれがミリオンセラーになり、映画になり、日本全国のひとが心を動かしている。ギャルと言われていた女の子の力って一見低く見られがちだけど、そんなことはない、生き方次第で世の中を動かせるんだっていう証拠じゃない?」って。
そう。僕たち一人一人の力って実はすごいんだと思うんです。そんなことを考えながら、僕は2年前からの唯一の自分の変化である薄くなった髪の毛を気にしつつ、カツカレーを食べています。あー、おいしい。人生って何があるか分からないものですね。
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