私の運命を変えた日本の歴史上の人物たち
- 佐野 雄大さん/研修会社経営
- 1968年生まれ。東京大学大学院の学生時代、将来研修講師になることを志す。3社を経て2009年に研修講師として独立。『日本の歴史に学ぶ人材育成法』の普及・啓蒙に努める。ブログ
http://ameblo.jp/soko-dikara/
でも情報を発信。
都立日野高校3年生のとき、最初に受けた5教科模試の結果が偏差値28でした。点数ではなく、偏差値だったので、大きなショックでした。その後、2年間浪人しましたが、その期間自分を支えてくれたのが、日本の歴史上の人物たちです。友人からの紹介で、吉川英治『新書太閤記』の豊臣秀吉、『宮本武蔵』などに感化され、勉強をし続けたのです。
東京農工大学へ行ってからも、ハードと言われた工学系の授業の合間に、大学の図書館にあった司馬遼太郎の書籍を読みながら、勉強をし続けました。
大学3年の後半、東京大学大学院の受験の話がきたとき、今までの歴史上の人物たちが、「たけひろ!チャンスだ!」と応援してくれたような気分になり、受験し合格してしまいました。高校時代の偏差値を知っている友人たちからは、今でも佐野は嘘をついていると言われています。
大学院卒業後は、3社を経て、企業向けの研修講師として独立し、研修活動をしています。企業の多くの社員と会話して痛感することは、日本の歴史に出てくる人物の生き様についてあまり知らないことです。研修中、事例として日本の歴史上の人物のことを話しても、「だれですか、それ?」という非常に残念な反応しか返ってきません。
この日本の風土に生きている今の私たちと同じように、日本の歴史上の人物たちも、この風土の中で、四季を感じ、異常気象などを憂い、人間関係などにも悩み、生きてきたはずです。
そのように、先んじて生きた人に少しでも学ばせてもらおう!学びたい!というこの重要な意識が薄いのです。
このようになったのは、学校教育のせいだ!という議論もありますが、むしろ学校教育の側面から支援したいと思い、『日本の歴史に学ぶ人材育成法』という教育方法を開発し、啓蒙・普及を2012年から始めています。
具体的には、社会人や学生が、日本の歴史上のある人物を調べ、自分の働き方・生き方につなげていく方法です。また親が歴史上の人物を題材に子どもと会話し、子どもが自主的に動くように促す方法です。
このような人材育成ができるようになると、例えば、本人が深く悩んだとき、「あなたが尊敬している○○だったら、どうするだろうか?」や、「あなたのその姿を見て、どのようなことを言うだろうか?」など、奥深い関与ができるようになるのです。
今後、『日本の歴史に学ぶ人材育成法』を伝えていくことによって、私は日本人らしい、謙虚さと誠実さ、そして続けていく粘り強さを兼ね備えた人物の育成支援をしていきたいと考えています。
(無断転載禁ず)