連載コーナー
本音のエッセイ

2008年6月掲載

よく聞いて

岩崎 紘昌さん/鑑定士

岩崎 紘昌さん/鑑定士
昭和21年札幌生まれ。中央大学在学中に世界75カ国を一人旅し、卒業と同時に西洋アンティークの輸入業を始める。西洋アンティーク評論家として、「開運!なんでも鑑定団」「リアルタイム」出演などテレビ、講演等幅広く活躍。著書に「鑑定の鉄人」(二見書房)「テディーベアの本」(文芸春秋・ネスコ)他多数。

私が40年近く商っている「骨董(アンティーク)」というものが、一部の熱烈な愛好者には支持されていてよく売れる。反面、うさんくさい、インチキっぽい、架空の話、と思っている人もたくさんいることを、私はよく知っている。

特に、私が商売をはじめた、昭和40年代、50年代、60年代は一般にはなかなか売れないものであった。

それが、十数年前から、テレビで「鑑定」の番組がはじまると、骨董も再認識されて、一般的な人もお店にきて、買うようになり、今も売れている。

私も「鑑定」のテレビに出ていたから、「鑑定士」という名前で呼ばれて、本来の商売の他に、「鑑定」のイベントなどで全国各地で講演している。

その「鑑定」の会場には、個人の方が、先祖代々受け継いでいるものや、近くは、父母が購入したけれど、値段が分からないものや、よそから戴いたものの産地がわからないというものが、各種もちこまれる。

日本、西洋、アジアを問わず、ほとんどなんでも鑑(み)て説明している。特に、親が高額で買って始末に困っている方など、同情する場合もよくある。

しかし、私が1番理解できないのは、自分で買ったものを持ってきて、「これが何なのか知りたい」という人だ。

「自分でどこかの店で買ったんでしょ」

「そうです」

「その店の人は何と言っていたの?」

「店の人はよく知らないと言ったし、聞いてない」

「エーッ!!よく聞かずに買ったの?」

「いくらぐらいしたの?」

「30万円ぐらいだったと思う」

「ドヒャーッ!!」である。

こういう鑑定依頼人が、性別、年令、関係なく、とても多いのだ。

私には、信じられないが、他人(ひと)は物の内容をよく聞かず30万ものものを買うものなのか?何も知らないと言って売る商人がいるのだろうか?そして、そういうものが、ほとんどは名品の贋物であることも共通している。

「もう1度、買った店で聞いてきたら…」

「店がない」または「聞いてもわからないと言われる…」

「なぜ、そんなところで買うの?」

これじゃあ、いつまでたっても骨董はうさんくさいと思われるだろうなあー。悲しい現実だ。きちんと説明してる店もたくさんあるのだから、よく聞いて買ってね!!

(無断転載禁ず)

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