連載コーナー
本音のエッセイ

2007年4月掲載

この暮れの果て暮れに!

広瀬 久美子さん/アナウンサー・エッセイスト

広瀬 久美子さん/アナウンサー・エッセイスト
千葉県市川市生まれ。早稲田大学文学部国文学科卒業後、NHKに入局、アナウンス室に配属される。テレビ「週刊ボランティア」「きょうの料理」「婦人百科」「NHKスペシャル」「バイオリンのおけいこ」、ラジオ「みんなの茶の間」「午後のロータリー」など多くの番組を担当。また、文部省、経済企画庁、総務庁の審議委員も歴任。2000年よりフリーに。講演、執筆、テレビ、ラジオへの出演などで活躍中。

『この暮れの果て暮れに!』この言葉は、母が生前年末の忙しいさなか、何か事が起こると必ず言っていた。“果て暮れ"とは言い得て妙と感心したものだ。が、昨年末それを如実に味わう出来事があった。

暮れの3日間に、プリンターを3台取り替え、最後にパソコンが起動しなくなったのだ。最初は29日。年賀状を10枚ほど刷ったところで、プリンターがストップ。一応、賀状のお尻を1枚1枚押しこみながらの印刷はできたが、賀状は約500枚ほどある。これでは年が明けてしまう。焦りつつ、私はサポートセンターに電話をした。なかなか繋がらない。やっと出た男性に事情を説明したところ、彼はこともなげにこう言ったのだ。

「ああ、大体その形は4、5年前ですから、もう寿命です。替え時ですね~」

「えっ! 4、5年で寿命? 嘘!」と反撃したものの、猶予はない。慌てて新宿の有名大型家電店に走り、同じ型を探したが、ない! やむなく最新型のプリンターを買い込んだ。と、今度は印刷するたびにピーピーと音がする。私はまた電話をした。先方は「問題ない」というので続けたが、かなりやかましい。翌日また電話をして音を聞かせたところ、先回と違う担当者が叫んだ。

「あっ! それは不良品です!」

責任者が出て話すには、 “不良品を送り返してほしい。返金はせず、新品を送るが2週間ほどかかる”と言うのだ。それでは正月はおろか、松の内も過ぎてしまう。さらにそれがまた不良品だったらどうするのだ? 私は新品を拒否し、返金を迫り、返品の荷造りをしてまた家電店に走った。別のプリンターをゲットし、急いでパソコンにつなぎ、いざ印刷を始めようとしたところ、何と何と! “果て暮れ”に止めを刺された。パソコンが起動しなくなったのだ。中に入っている名簿が出せない! 賀状が印刷できない! 急遽別の小さなパソコンにプリンターをつないだところ、幸いにも起動したが、そのパソコンには名簿が入っていない。昨年の賀状を見ながら印刷したもののパニックに陥り、そのあとは何をどうしたのか記憶にない。

それにしても、寿命が4、5年、しかも同じ型のものが全くないというのも驚く。

思えば、私が娘時代、母に買ってもらった帯や着物は今姪が着用、数十年健在だ。時代の先端を行くパソコンや周辺機器が使い捨て状態では情けない。今年のこの騒ぎと、1、2月と仕事が続き、3月にはインフルエンザでダウンしてしまった。直したパソコンも不安定。今年の“果て暮れ”はもちろん永遠に事が起きないよう切に願っている。

(無断転載禁ず)

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