連載コーナー
本音のエッセイ

2004年12月掲載

今、心から謝りたい

清水 國明さん/タレント

清水 國明さん/タレント
1950年福井県生まれ。テレビ、ラジオの司会やコメンテータ、新聞雑誌への執筆活動など、幅広く活躍中。現在「噂の!東京マガジン」(TBS系)に出演中。自然体験イベントや講演活動も多い。1995年アウトドアライフネットワーク「自然暮らしの会」を結成、代表を務める。2003年「NPO法人清水國明の河口湖自然樂校」を開校。著書「清水國明の釣戦記」(釣り人社)などほか多数。

本音で言えば、こんな風に毎日好きなことしながら、それでいてお金持ちにもなりたいな、と思っている。「好きなことしているのだから、貧乏でもいいや」と長い間自分に微妙な嘘をついていたなと気付いたので、最近は正直に、お金持ちになりたい、と言うようにした。

「本当に大切なものはお金では買えないのだから、金、金と必死に生きるのはいかがなものか」「必要なものは何でも作ることができる。家でも食べ物でも遊び道具でも。作れないものは自分にとって必要ないものと考え、それを必要としない生活に切り替えてゆく」…なんてことを言いながら、富士山の麓、森の中で「自然暮らし」をやっているのだけれど、自分で手作りできない最たるものがお金だから、お金を必要としないシンプルライフ。その根本を揺るがすこの心変わりは、いまさらながら「やっぱ、好きなことするにはお金がいるね」という、分かりやすい現実に直面しているからである。

好きなことだけを一生やり続けられるかどうかは、自分がやっている好きなことが、どれだけの人を喜ばせているかにかかっているようだ。で、それを自分だけの楽しみにせず、みんなと分かちあわなければならないと気付いて、1年前「河口湖自然樂校」を始めた。

自然と親しみたい人、いつかは自然暮らしをと願う人たちを応援するNPO法人である。森の中のトレッキングや富士五湖での釣りとカヌー、それに、ログハウスやツリーハウス、カヌー、ナイフ、釣道具など、自然暮らしに必要なモノ作り、楽しみ作りの講座を開いている。好きなことばかりなので辛くはない。より多くの人を楽しませれば、それに比例して喜びが倍増するという、人生が理想のカタチに近づきつつあるのは、確かである。

が、しかし。そのためにああしようこうしようと、施設やプログラムのことをワクワク考えているとき、いつも決まって目の前に立ちはだかるのが、お金。またお前が邪魔するのかよ、と悪態をついてもどうしようもなく、このところ連戦連敗が続いている。どうやらお金ってやつは、お金なんて、とかこんなものって言っている人のところにはヘソを曲げて、やってこない性格らしい。

「自分だけでない、より多くの…」と、生きざまを切り替えた段階でまず、お金と仲直りしておかなければならなかったのだ。恥を忍び、勇気を振り絞ってお金に謝ろうと思う。

「好きなことをして生きてくためには、どうしてもあなたが必要でした。お金さん、ごめんなさい。どうかこれからは、お気軽にお立ち寄りください。心からお待ちしています」

(無断転載禁ず)

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