連載コーナー
本音のエッセイ

2010年1月掲載

旅の進化は女性が握る

山崎 まゆみさん/温泉エッセイスト

山崎 まゆみさん/温泉エッセイスト
新潟県長岡市出身。世界中の温泉を巡り、現在21カ国の温泉を訪問。「温泉での幸せな一期一会」をテーマに、テレビやラジオ、雑誌、新聞などでレポートしている。現在、『オール讀物』(文藝春秋)など多数連載のほか、「旅チャンネル」も放送中。

「やっぱり女性は頼もしい!」、いつも、このことを再認識する。そしてうれしくなる。

2008年、『だから混浴はやめられない』(新潮新書)を上梓した。内容は、私の10年にわたる混浴風呂でのさまざまな出会いのエピソードを紹介しながら、混浴の歴史もひもといた。

「そこは恋が始まる場」「主導権を握るのは、やっぱり女性」「失われた原風景を求めて」「良質な湯と豊富な量、そこは理想の温泉郷」「混浴に学ぶ人としての作法」「混浴というセラピー」と、章立てをご覧いただければ、肩ひじ張らずに読める愉快な本だということが分かっていただけると思う。

新書というスタイルの本だったので、読者は男性サラリーマンだろうと想像して書いた。それが、発売後、ふたを開けてみれば多くの女性たちにも読まれた。読者からのお便りをご紹介すると、以下の二つが主な感想。「日本の近代史と混浴の歴史がリンクして、非常に興味深かった」というのは男性からの弁。一方、女性からは「混浴温泉で山崎さんが男性を意識する描写にお腹かかえて爆笑しました。私も山崎さんみたいに混浴へ行きたい」とのこと。

また、著者インタビューも多数受ける機会を与えていただいたのだが、20代の女性記者から、「私も、最初は抵抗があったんですが、あの混浴の和やかな空気が気に入っているんです。山崎さんの気持ち、すごく分かる!」と連絡をいただくことがたびたびあった。そして、混浴に興味を抱いた女性記者にお会いしてみると、どの方も楚々としたお美しい方。この女性が混浴風呂へ行ったなら、さぞかし男性は緊張するだろうと想像し、私は微笑んでしまう。そんな見目麗しい女性たちと、現在置かれている混浴の状況の改善点、今後の課題、入りやすい混浴にするためになどといった話で盛り上がった。こうした私の混浴談義の相手はもっぱら女性である。

そもそも古来より、私たち日本人は混浴が当たり前だった。老いも若きも男も女も、風呂に入るという描写が風土記に残されている。江戸時代の銭湯も混浴が当たり前だったのは周知の事実。それが日本の近代化とともに混浴が野蛮ということで禁じられ、減少の一途をたどってきた。

現代における混浴事情を一言で記すと、「妄想して楽しむのは男性。実際の混浴を満喫しているのは女性」。

ということで、「混浴に行きたい」といってくれた女性たちに向けた混浴風呂のガイド本を制作した。『ようこそ!幸せの混浴温泉』(東京書籍)である。頼もしき女性たちとともに、日本の温泉の原風景である混浴風呂を守っていきたいと思っている。

(無断転載禁ず)

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