寮で提供する置き弁、ガツンごはん
- あきこさん/元寮母
- 広島県出身。高校卒業後、パン屋や寿司屋兼旅館などで勤務を経て、2018年2月〜22年4月まで、造船会社の従業員寮で寮母として勤務。その際に提供していた「置き弁」の写真をSNSにあげると、面白くておいしそうな見た目のインパクトで注目を集める。現在は、広島県内の施設等で昼食を提供している。著書に『寮母あきこのガツンごはん』(マガジンハウス)。 https://akiko0301akiko.blog.jp
造船会社の寮の「置き弁」
「置き弁」をご存じでしょうか。私が造船会社の寮母として働いていた約4年間、月曜日から金曜日まで作っていたのが「置き弁」です。
通常、食堂というと、目の前で配膳することを想像される方が多いかもしれませんが、私が働いていた会社では、12時までに調理・盛り付けした昼食を置いて、私は昼休憩に行きます。休憩後は、13時から17時の間に夕食を調理して置いておくというスタイルで提供していました。その頃は何の違和感もありませんでしたが、今考えるとちょっと変わっているかなと思います。でもそのおかげでしょうか、皆さんがどんな顔して食べているのかなと想像したりして楽しんでいました。仕事中に皆さんの反応を思い浮かべて、笑いながら作っていたかもしれません。
昼食・夕食のメニューは自分で食材を買い、メニューを考えて盛り付けます。とても自由で、毎日いろいろ考えて作るのが本当に楽しかったです。
見た目からおいしい「置き弁」の工夫
私が作っていた置き弁は大胆で無造作かつ繊細。なんだか私みたい(笑)。その盛り付けは個性的と言われ、SNSでも多くのフォロワーさんが見てくれました。色味のバランスなど、実は細かく考えていたところもあります。「今日のご飯は何かなぁ」ってワクワクしながら帰ってもらい、置き弁を見た時に「おっ!!」って思ってほしくて見た目のインパクトを工夫していました。
12時に合わせて作ると、料理が温かいままなのでふたをしないことも。そのため普通のお弁当とは違ってかなり立体的に作ることができます。実は盛り方は買い物や調理中はあまり考えていなくて、調理が終わって盛り付けをするタイミングになって考えます。そのため日によって詰め方が変わり、しっくりくる盛り付けになるか私も毎日ドキドキしていました。そして、だんだんとエスカレートしていって立体過ぎるお弁当に。遠目で見てもびっくり!
水曜日はおむすびの日で週の真ん中だよ!という合図。寮でいろんなおむすびを作ってきましたが、私自身も元々作ったことがない組み合わせがあります。おむすびにたこ焼きや餃子を埋め込むとか、スーパーに行くと何を埋め込もうかなとか、常日頃からアンテナを張っていて、お風呂に入っている時などに不意に浮かんできたアイデアをメモしていました。
例えば写真の餃子おむすびなど、どうやって握ったのか動画で見せてほしいというコメントがたくさんきましたが、実は丸いおむすび、初めて握りました。上から見た時に何が入っているか分かりやすいかなと思い、丸い形にしてみました。
「置き弁」から学んだ挑戦する姿勢
私は元々お弁当作りが苦手で、それを克服するために作り始めたので、今こうやっていろんな方に見ていただいて、自分でもびっくりしています。
これを機に、気になったことはとりあえず何でもやってみようと思い、登山、カメラ、ギターなどを始めました。さて、次は何をしよう?
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