連載コーナー
この人に注目

2022年5月掲載

縄文時代の道具で「みんなの丸木舟」をつくる

雨宮 国広さん/縄文大工・建築家

雨宮 国広さん/縄文大工・建築家
1969年、山梨県生まれ。2009年に石斧と出合い、縄文時代の手道具のみを使う伝統的技術を磨き、縄文大工になる。Jomonさんと呼ばれる。真脇遺跡(石川県能登町)で縄文時代の住居の復元に参加。国立科学博物館(東京都台東区)「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」では丸木舟を制作。著書に『ぼくは縄文大工 石斧でつくる丸木舟と小屋』(平凡社)。
https://jomonsan.com

世界の現状と縄文大工になったきっかけ

私が縄文大工になったきっかけは、資本主義社会のものづくりが、「すべての生き物たちの命を縮めている」と感じたからです。

人類は、地球を破壊するために誕生したわけではなく、母なる星をより美しくするために生まれたのです。そのために、「道具をつくり、ものづくりを始めた」と私は考えています。

他の生き物たちの生き様を見れば、生命原理は「命のリレー」です。しかし人類は、この反対の暮らしをしています。あと10年の内に、この暮らしを改善しなければ、生態系が大きく破壊されることが科学的に解明されました。小学生にも理解できる破壊的暮らしを、すぐにやめなければならない状況に追い込まれたのです。

今、世界の目標は、持続可能な暮らしをつくり上げることです。しかし、我々の高度な文明や文化を持ってしても実現できていません。ところが原始人たちは、持続可能な暮らしを何百万年も実践してきたのです。私はこの偉業に魅了され、縄文大工を志したのです。

縄文大工の仕事

縄文大工の仕事は、地球上のすべての生き物たちが仲良く、楽しく、面白く暮らせるものづくりを実践することです。

私はその中でこだわりがあります。石や骨、貝殻や木の枝などの自然素材から道具をつくることです。なぜなら、鉄や機械の道具をつくり、使用するエネルギーとは、比べものにならないほど地球にやさしいからです。また、石の道具の好きなところは、心が落ち着き自然との一体感が味わえることです。

縄文大工の仕事は、すべての生き物が幸せになることを目指す大変なものです。しかし、人類の壮大な夢は、このような崇高なものなのではないでしょうか。

これからの目標

今、私が取り組んでいる仕事は、全国47都道府県の子どもたちと石斧で巨大な丸木舟をつくることです。今年北海道をスタートして全国を巡り、来年沖縄県で完成します。ところが、完成した丸木舟(地球船)を安定して漕げない生き物が1種類います。我々です。

今こそ、みんなと仲良くして人間らしさを発揮しましょう。このものづくりの目標は、地球上のすべての生き物たちと一緒に幸せな航海ができる「みんなの丸木舟」をつくり上げることです。皆さま、共に力を合わせていきましょう。

  • 湖でのテスト漕ぎ

    湖でのテスト漕ぎ

  • 丸木舟の制作に参加する子どもたち

    丸木舟の制作に参加する子どもたち

  • 石斧の数々

    石斧の数々

  • 木を切る・削る作業は石斧と楔(くさび)を使って行う

    木を切る・削る作業は石斧と楔(くさび)を使って行う

(無断転載禁ず)

連載コーナー

Wendy 定期発送

110万部発行 マンション生活情報フリーペーパー

Wendyは分譲マンションを対象としたフリーペーパー(無料紙)です。
定期発送をお申込みいただくと、1年間、ご自宅のポストに毎月無料でお届けします。

定期発送のお申込み

マンション管理セミナー情報

お問い合わせ

月刊ウェンディに関すること、マンション管理に関するお問い合わせはこちらから

お問い合わせ

関連リンク

TOP