新聞紙恐竜を作るということは
- 杉﨑 良子さん/新聞紙恐竜作家
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新聞紙恐竜
新聞紙で恐竜をモチーフに作品を作っています。かれこれ14年近く作っています。
恐竜は古代生物ではあるものの、ヒトが化石などの手がかりから情報を集め、再構築し続けた生き物です。つまり、私たちが知っている恐竜は、情報から形ができあがった生き物といえるでしょう。
新聞も、情報の塊です。その情報の塊を素材に、情報の塊でできた恐竜を作品にしています。
恐竜に魅了されたきっかけ
初めて恐竜に心が惹かれたのは、幼稚園の時だったと思います。東京・上野の国立科学博物館で大きな化石を見てから、ずっと魅了されています。また私の小中学生の時代は、恐竜ブームもあり、たくさんの書籍や大規模な展示会があり、恐竜を身近に触れる機会が多くありました。そのため、ずっと好きでいることができました。
新聞は、昔から親しんだ身近な大きな紙でもあります。毎日新しい新聞が家に届き、いろいろなニュースを読めるのは、とても面白く、私の幼少期はカラー面も多く、見ても楽しかったです。また、インターネットも普及していない時代だったので、読み終えた新聞紙は格好の遊びアイテムでした。とにかく量がある紙です。いろいろなものを作って遊んだ記憶を思い出します。その頃から、動物などを作ったりしていました。
新聞紙は恐竜の形を成すDNA
作品は、中身も新聞紙が詰まっています。
ある博士に、作品を見ていただいた際、「その中にある文字は、まるで生物の形を成すDNAのようですね」と言われたこともあります。確かに、毎日、私に新しい数千近くの文字が届く様子は、生き物の細胞の新陳代謝のようです。
材料ですが、新聞紙の他は、のりを使っています。たまに木工用の接着剤を使うことはありますが、特別なものは使っていません。のりは、コンビニでも買える液状のりを使っています。
新聞紙恐竜の製作
展示会で在廊していると、よく「作り方」を聞かれるのですが、とてもシンプルな作り方です。
まず、新聞紙をこよって芯を作ります。続いて、胴体などの肉にあたる部位は、新聞紙をくしゃくしゃに丸めたものを用意します。作った芯で、背骨、四肢の骨のように芯として大まかな形をとります。丸めた新聞紙をそれにつけていき、自分のイメージする大きさになるまで、新聞紙をくっつけています。
あとは、張り子のように新聞紙の切れ端を貼って、乾いたらカッターやヤスリなどで削って、形を整えていきます。この繰り返しを3日間くらい続けます。前脚や後ろ脚、顎などの細かいパーツを同じように作り、胴体に合わせ、くっつけていきます。
最終的な整形過程では、頭にイメージした恐竜を再現できるように、現在、生きている生物の肉付きを参考にしながら、生き物の滑らかな曲線が出るように注意し、ポーズを決めつつ整形していきます。
形を整形している時は、生き物が数十万年という時間をかける進化とは違い、ヒトが考えた説で、数年単位で姿を変えていく恐竜は、つくづく不思議な生き物だなと実感します。このような生き物は地球上にいないでしょう。
仕上げは、印象に残った記事や見出しを表面に貼って仕上げます。なるべく記事を貼るときは、文字が読めるように、シワにならないよう貼っていきます。この作業が一番好きかもしれません。
また、恐竜の新しい学説に合わせ、羽毛恐竜にも挑戦しています。時間がかかってしまうため、数は少ないですが、新聞紙で羽毛を再現した作品もあります。
今後について
ヒトが未来に進むと同時に、どんどん新しい恐竜が出てきます。新しい恐竜の姿は、もちろん、作っていきたいですし、恐竜時代の他の生物にも挑戦していきたいと思っています。
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