管理者方式と呼ばれる方式で、管理者の立場を管理業者に委託しているマンションがありますが、どういった場合にそのような方式がとられるのでしょうか。
管理者方式とは、区分所有者の中から理事長を選任し、理事会を結成し、組合の運営を行っていく管理形態(理事会方式)ではなく、区分所有者以外の者、例えば管理会社やマンション管理士などが管理者として管理組合の運営を行う管理形態をいいます。
管理者方式を採用する場合には、次のようなケースが考えられます。
(1)リゾートマンションや投資用のワンルームマンションのように、区分所有者の多くが外部に住んでいるマンションで理事役員を務める区分所有者がマンション内に住んでいない場合。横の連絡がとりにくく、理事会方式で期待される民主的な運営ができない。
(2) 区分所有者数が少ない小規模マンションにおいて、役員を輪番制で行ったとしても3~4年に1度理事役員をすることとなる。さらに、転勤や賃貸などでマンション内に住む区分所有者が減れば、役員が専従化し、専従役員の負担が増し、かつ、他の区分所有者の利益が守られないケースも出てくる。
(3)理事会方式というのは、規約と区分所有法の制限はありますが、一種の権力構造がマンション内にできるという見方もできます。このような考え方に立つと、マンション内に「体制側」と「体制に従う側」という一時的な「社会階層」ができることになります。このことが管理組合理事会と住民とのトラブルが深刻化する原因になることがあります。
これに対し、サービス業としての管理者(例えば管理業者)に理事会業務を一任することにより、住民間の階層化を解消することができます。サービス業管理者の場合トラブルは深刻化しません。なぜなら、規約の定めにより、管理者を容易に解任すればよいし、そこまで至らなくてもサービス業者対住民の構図は「業者」対「消費者」という意識の中で解決できることが多くあります。
したがって、多くの管理組合運営の経験を経て、この方式の方がより洗練されたサービスの形態であると考える人も多く出て来ています。この方式の欠点は、管理者の質や経験にその成否が委ねられる点でしょう。
いずれの方式を採用するにしても、区分所有者の自治(管理組合)の中での選択の問題であることに変わりはありません。
2004年4月掲載
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