まず、その排水管が専有部分かどうかということですが、これは管理規約によります。標準管理規約第7条第3項によると、「専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする」とあります。ここでいう「専有部分の専用に供する」か否かは、設備機能が各住戸の専用のものか、共用のものかにより決定します。具体的には、配管、電線などの本管(線)は共用部分であり、枝管(線)は、専有部分と考えられます。ただし、枝管でも共用部分内(床スラブの中など)にある場合は共用部分となります。本問のケースでは、その排水管は、フローリングと床スラブの間ということですから、専有部分と考えられます。次に責任について考えると、民法第717条によると、建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じた場合、第一次的には、その占有者が責任を負い、占有者が過失のないことを証明した場合には、所有者が責任を負うことになっています。この所有者の責任は自分に過失がないことを立証しても責任を免れることはできません(無過失責任)。
つまり、本問のケースでいうと、この排水管が専有部分となっている規約であれば、あなたはその排水管の所有者となり、占有者として過失がないとしても、所有者としての責任があり、加害者の地位を有することになります。よって、階下の方に対し、損害賠償責任を負うことになり、そのために管理組合が保険に加入しているのです。
最後に示談書に署名捺印をしなくてはいけないかということですが、示談書とは民事上の紛争に関し、裁判によらずに当事者間に合意が成立したことを証する書面です。つまり、示談書に署名捺印をしないということは、合意をしないということになります。よって、被害者の方より裁判による決着を求められる可能性があります。
法的には示談書に必ず署名捺印しなければならないということはありませんが、このようなトラブルの際に円満な解決を行うために保険に加入しているわけですから、示談の内容をよく確認して、加入する保険を利用して損害の賠償を行うことが一番の解決策と思われます。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2003年8月掲載