Mansion
素敵なマンションライフのために

管理に関するFAQ

専有部分のトラブル

カラオケの騒音について

マンションに店舗部分があり、最近その中にスナックが開業して、深夜までカラオケの音が鳴り響くので困っています。経営者に注意を呼び掛けても「営業妨害だ」といって受けつけてもらえません。管理組合としては、どのように対処したらいいのでしょうか。

 カラオケ騒音の規制は年々進んでいるようです。昭和五六年二月に横浜地方裁判所が下した判例では、県公害防止条例の許容限度(四〇ホーン)内であっても、マンション内では、居住者の睡眠に与える影響の程度や地域性などを考慮して受忍限度を超えるとし、禁止する時間帯を設定しています。
 カラオケ騒音に限らず、マンションの騒音問題はデリケートで、しかも主観的な要素が強いのでトラブル解決が難しいのが現状のようです。管理組合が主体となった詳細なルールづくりが望まれます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1989年7月掲載

生活騒音について

夜中、上の階の業務用ミシンの音が大きく響いて眠れません。夜中は避けてくれるようにと再三頼み、理事長さんや管理会社の方も何度も足を運んで注意してくださったのですが、聞き入れてもらえず困っています。

 この騒音が受忍限度を越えるようなら損害賠償を請求できます。どの程度の騒音であれば受忍限度を越えるのかの判断は個人差もあり難しいのですが、騒音防止条令を目安に、継続的なものかどうか、そして時間帯なども判断の材料になります。
 本問のように、夜間、睡眠を妨げられてしまうというのは、受忍限度を越えた騒音と考えられます。
 したがって、損害賠償の請求をすることができます。なお、業務として洋裁店を営んでいるのであれば、マンションの管理規約にある、「専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」という規定の適用の有無が問題になります。営業時間、人の出入り、住環境騒音のあり方によって、上記専有規定に違反する場合もあります。住環境を守るような方法で解決するよう、総会あるいは理事会にて話し合いの機会を持たれることが望まれます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1989年10月掲載

クーラーの配管用穴の修復は

クーラーを設置するために配管穴をバルコニー側の壁面に開けたところ、管理組合から元通りに修復するよう言われました。どうすればよいでしょうか。

 マンションの壁、天井、床、柱などの躯体部分(コンクリートの部分)はすべて共用部分です。あなたにとってクーラーの設置という必要に迫られた理由であっても、個人が勝手に共用部分に手を加えることはできません。区分所有法第六条に「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は、使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」との定めがあります。
 これらのことから、現段階では管理組合の申し出にしたがわざるを得ないかと思います。
 ところで、組合員の多数から同様の希望があり、建物の構造上、美観上も問題がないことが明らかであれば、共用部分の変更に準じて(区分所有法第一七条一項)、総会の特別決議でクーラー配管用の穴開けについて承認することも可能でしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1991年8月掲載

相続人がいない場合の部屋はどうなるのか

理事長ですが、ある区分所有者が死亡して相続人がいないようです。今はそのままにしていますが、この部屋はどうなるのでしょうか。

 相続人がいない場合の財産の取り扱いとして、特別縁故者(生前に被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者など被相続人と特別の縁故があった者)への分与、国庫への帰属が考えられます。
  • (1)配偶者・子(子が死亡している場合には孫)
  • (2)直系尊属(被相続人の父母以上の血族)
  • (3)兄弟姉妹

 これらの相続人が死亡・行方不明または相続権を放棄した場合に相続人がいないことになります。
 さて、問いのケースですが、相続財産が区分所有物であるために、専有部分と敷地利用権の一体性が問題になります。下表のように昭和五八年の区分所有法の大改正前では権利の帰属先が異なっていました。
 ただし、これも昭和五八年の改正後の区分所有法では、一体性が確保できるようになりました。つまり、専有部分の新所有者が同時に敷地利用権も有するわけです。
    
専有部分 敷地利用権
昭和五八年改正前 特別縁故者又は国庫 他の共有者
改正後 特別縁故者又は国庫 特別縁故者又は国庫

 いずれにしても、相続人がいないことを法的に確定し、財産を処分するにあたっては家庭裁判所の審判が必要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1993年6月掲載

アフターサービス基準について

マンションを購入後、壁面に雨漏りが原因と思われるシミを発見したので、売主の分譲業者へ補修を請求したいと考えています。

 購入したマンションに売主の責任による瑕疵(欠陥)があった場合、買主は売主に損害賠償請求または契約の解除ができます。
 売主は買主に対して品物の品質を保証する義務を売買契約上負っているからです。民法によれば気がつかなかった瑕疵に対してはそれを知った時から一年間はこれらの権利を行使できることになります。これとは別に、通常分譲業者はマンション販売時にアフターサービス基準によって瑕疵に対して二年以上の保証期間を定めています。その場合、保証期間が問いの請求期間にあたるといえます。
 一般に建物の瑕疵が売主の責任によるか否かをめぐってよく争いになりますが、その証明は容易ではなく、解決困難な訴訟となることが多いのです。それを避けるために買主の不注意や通常の経年変化によるものは除き、売主が補修費用を負担しようというのがアフターサービス基準です。売主側の責任の有無にかかわらず補修義務を負うため、かわりに保証期間は起算日を引渡時にするなど、民法よりも限定されたものとなっています。
 上記期間に関わらず良心的な業者であれば、話し合いにより補修に応じることもあります。瑕疵の箇所によっては誰が請求するかが異なりますし、その判定は難しいので、まずは管理組合が窓口となって対応することが望ましいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1994年2月掲載

漏水の原因が他人の過失だった場合は

私の区分所有する部屋の床下配管から漏水し、下階の部屋に被害を与えました。私の前の所有者が床の修理をした時、工事業者が誤って床下配管に傷をつけたことが原因でした。工事業者を訴えて修理費用を払わせようと思うのですが、管理組合からは保険を適用させるため、示談書を作成するように言われました。示談に応じることは私に非があると認めることとなるので納得できません。

 民法第七〇九条には「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者」は、それによって生じた損害を負担しなければならないと規定されています。故意とは、自己の行為により第三者の権利を侵害することを知りながら、あえて行為に出る意志をいい、過失とは第三者の権利侵害の生ずることを認識すべきであったのに、これを認識せず行為をなしたという注意義務違反のことをいいます。
 問いのケースでは、前所有者の床の工事が原因であったことは知る由もなく、したがって過失はなく一般的不法行為責任は負いません。しかし、それでは被害者の救済が不十分となります。そこで、民法第七一七条第一項には、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があったために損害が生じた場合、第一次的にはその占有者が、そして占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をなしたことを証明した時は、その所有者が賠償義務を負担するとあります(工作物責任)。この規定により、問いのケースでは占有者である現区分所有者が、他人の加害行為であるにもかかわらず賠償義務を負担することとなります。
 また、示談に応じるのは納得いかないとのことですが、この示談書は保険を適用させるのに手続上必要なもので、事実関係を明白にすればよいのです。この示談により社会的非難を受けたりといったことはありません。さらに保険会社は求償権という権利をもっています。この権利は、他人の加害行為による事故に保険金を支払う場合、保険会社はお金を払って泣き寝入りする訳ではなく、真に責任を負うべきものを訴え賠償を求めることができるというものです。問いのケースでは金額にもよりますが、保険会社より工事業者に賠償を求めることになると思われます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1996年4月掲載

暴力団追放について

最近の暴力団発砲事件で、その対策として、規約を改正して暴力団や組員の締め出しをはかることができるなどと報道されていますが、規約をかえないと暴追はできないのでしょうか。

 規約のもとになっている区分所有法では、集会の決議によって専有部分の使用禁止や区分所有権の競売申立が認められ、賃借人に対しても賃借契約の解除を請求することができます。規約には、これに基づいた条文が必ずあるので、現有のもので暴追は可能です。
 「暴力団」とか「組員」と言っても法的な定義をもつ言葉ではないので、それらの購入、入居を拒むといったような規定の適用には実際には困難があります。住居内を組事務所にしているとか、出入りの際ボディチェックをしているとか、発砲に至らぬまでも、このような具体的に共同生活の安全をおびやかす現象がなければ、いずれにしても追放の法的処置は難しいかと思われます。
 ただし、法的効果はともかく、規約を改正することにより、住民の暴力追放の意思を示し、暴追の世論を盛り上げる精神的な意味はあると思われます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1990年3月掲載

暴力団が入居した場合は

マンションに暴力団が入居しないようにするには、どんな措置をとったらよいでしょうか。また入居してしまった場合には、どうしたら退去させられるでしょうか。

 暴力団にとってマンションは第一に堅固な構造で、第二は居住者同志が干渉しないという秘匿制があり、第三に対立組織の攻撃に対し住民を楯にできるという利点があるので、格好の隠れ家になっています。
  • (1)入居前の予防策
  •  暴力団構成員の入居や区分所有権の取得、暴力団構成員に対する譲渡、賃貸などを禁止する明文を定めることが有効です。暴力団も入居に先立ち、事前に管理規約をチェックしてきちんとした管理をしているマンションは敬遠します。
  • (2)入居後の対処
  •  区分所有法第七節「義務違反者に対する措置」は、五七条一項で、区分所有者が共同の利益に反する行為をした場合、又はその行為をするおそれがある場合、他の区分所有者はその行為を停止し、またはその行為を予防するための必要な措置を執ることを請求できると定めています。具体的には、内容証明郵便でその行為の差止請求をするといったことです。

 他にも同条第二項で一般的な訴訟による差止請求、第五八条で専有部分の使用禁止請求、第五九条で区分所有権の競売請求、第六〇条で占有者に対する引渡請求が定められています。
 これらの請求を行う場合は、総会における議決が必要となりますが、差止請求訴訟の場合は区分所有者および議決権の各過半数の賛成で足りますが、第五八〜六〇条の訴訟の場合は四分の三以上の賛成が必要になりますので、注意してください。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1995年1月掲載

「共同の利益に反する行為」とは

「共同の利益に反する行為」とは、どんなものですか。

 区分所有法第六条に、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と規定しています。
 この「共同の利益に反する行為」とは、建物の保存に有害な行為、建物(敷地を含む)の適正な管理や使用に障害となる行為をさし、財産的な側面と共同生活に関する側面から見て、これらの利益を侵害する行為をいいます。
 これには、(1)換気装置を設置するために、建物外壁に開口部を設置するような、建物を不当に毀損(傷つけること)する行為、(2)建物内に重量物や危険物を運び込むなど、建物を不当に使用する行為、(3)平穏な住環境を破壊するニューサンス(一種の不法行為)が該当するとされています。
 事例としては、住居専用マンションをカラオケスナックに改造し騒音を発生させる行為や、組員がひんぱんに出入りする暴力団事務所として使用する行為はどちらも(2)と(3)に該当します。
 このような違反行為に対する対応策として、区分所有者はその違反行為の差し止め、場合によっては損害賠償を請求することもできます。
 また、管理組合はその違反行為の停止やその行為の結果の除去を請求したり、予防するための措置を取ることを請求できるほか、その違反行為が著しい場合には、総会の決議を得て、裁判で専有部分の使用禁止、競売の請求、占有者が賃借人である場合には、賃貸借契約の解除、専有部分の引渡しを請求することもできます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1998年8月掲載

原因がはっきりしない漏水の対応は

天井から水漏れが発生しました。上の階の人は水はこぼしていないようで、どうやら上の階の床下の配管に原因があるようです。どうすればいいでしょう。

 不注意で水を漏らして階下に被害を与えた場合は、不法行為として本人が損害賠償の責任を負うことになりますが、問いの場合は設備配管(給水配管又は排水配管)の瑕疵(不完全なものの一種のこと)が原因と思われます。このような場合は、瑕疵の所在箇所によってその責任を負う者が異なります。
 一般的に床コンクリートと床板の間の部分にある設備配管は専有部分です。ただし、まれに水平配管が規約で共用部分となっている場合があります。すなわちこの規約では床スラブと床板との間の空間を共用部分と見ているわけです。
 一方パイプスペース内やコンクリートに埋設されている部分が共用部分になります。漏水箇所が専有部分であればその部屋の占有者又は区分所有者が、共用部分であれば管理組合がそれぞれ責任を持って修理することになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

1992年6月掲載

専有部分にある防火設備の管理について

消防点検を行った際に、ある住戸の感知器に故障が見つかり修理を行おうとしましたが、「専有部分であるから、管理組合は関係ない。立ち入ってもらっては困る。」と言われました。専有部分にある防火設備の管理はどのように考えればよいのですか。

専有部分にある感知器は共用部分に属する物かどうかという問題ですが、感知器の保守管理を個人の責任とした場合、その点検を怠り、感知器を取り外すといった不都合が生じるおそれがでてきます。また感知器は、管理室などに設置された受信機との連動をチェックする必要があり、個人がそれぞれに点検することは、実際上は困難です。
 よって、感知器を含め防火設備は共用部分とされ、共用部分の管理と一体として管理組合が保守管理するのが一般的です。区分所有者に理解を求め修理や点検に協力してもらってください。
 また、火災を起こした場合、当事者は失火法によれば、失火の場合には民法第七〇九条の規定(不法行為)を適用しないことを規定していますが、失火者に重大な過失がある場合には失火法を適用しないことになっていますので、本問のように感知器の故障の修理をさせず、火災が発生して隣室を延焼させた場合には、失火法が適用されず、法的責任を問われる可能性があります。 
 次に、専有部分にある感知器が共用部分に属するとした場合、専有部分への管理上の立ち入りについては、国土交通省が、管理規約を定める場合の指針として定めたマンション標準管理規約第二三条では、「管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求でき、請求された者は正当な理由がなければこれを拒否してはならない」とあります。したがって、当事者は正当な理由がない場合には立ち入りを拒否できないのです。
 ここに「専有部分であるから、管理組合は関係ない」との区分所有者の言い分は、防火設備は共用部分と解されますので、正当な理由とはいえず、立ち入りを拒否できないことになります。
 しかし、仮にこのような規約があっても、実際に専有部分への立ち入りを拒否された場合には、管理組合が強制的に立ち入ることはできません。これは消防署の行う査察であっても同様です。
 通常は、区分所有者が立ち入りを拒まれる理由は、居室を他人に見せたくないというのが真意と思われますので、区分所有者を説得して、区分所有者の都合に合わせて立ち入るようにしてください。ただし、バルコニーの避難ハッチについては、バルコニーが共用部分であることから、事前の予告を行うことにより、上階より立ち入り点検をすることができます。
 また、火災発生時、または、火災発生、または延焼が避けられないと判断される時は、消防隊はドアを壊すなどして立ち入り、消火活動を行うことができるのは当然のことです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2002年12月掲載

排水管にヒビが入り、階下に漏水した場合の責任、示談書について

私の住戸のフローリングと床スラブの間にある排水管にヒビが入り、そこから階下に漏水しました。理事長より階下の方の壁紙などを補修するため、管理組合で加入している保険を利用するので、示談書に署名捺印をしてほしいと言われました。その示談書で、私は加害者となっており、そのことに納得がいかないので、署名捺印を拒否しました。私は示談書に署名捺印しなければならないのでしょうか?

 まず、その排水管が専有部分かどうかということですが、これは管理規約によります。標準管理規約の第七条三項によると、「専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする」とあります。ここでいう「専有部分の専用に供する」か否かは、設備機能が各住戸の専用のものか、共用のものかにより決定します。具体的には、配管、電線などの本管(線)は共用部分であり、枝管(線)は、専有部分と考えられます。ただし、枝管でも共用部分内(床スラブの中など)にある場合は共用部分となります。本件では、その排水管は、フローリングと床スラブの間ということですから、専有部分と考えられます。次に責任について考えると、民法第七一七条によると、建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じた場合、第一次的には、その占有者が責任を負い、占有者が過失のないことを証明した場合には、所有者が責任を負うことになっています。この所有者の責任は自分に過失がないことを立証しても責任を免れることはできません(無過失責任)。
 つまり、今回のケースでいうと、この排水管が専有部分となっている規約であれば、あなたはその排水管の所有者となり、占有者として過失がないとしても、所有者としての責任があり、加害者の地位を有することになります。よって、階下の方に対し、損害賠償責任を負うことになり、そのために管理組合が保険に加入しているのです。
 最後に示談書に署名捺印をしなくてはいけないかということですが、示談書とは民事上の紛争に関し、裁判によらずに当事者間に合意が成立したことを証する書面です。つまり、示談書に署名捺印をしないということは、合意をしないということになります。よって、被害者の方より裁判による決着を求められる可能性があります。
 法的には示談書に必ず署名捺印しなければならないということはありませんが、このようなトラブルの際に円満な解決を行うために保険に加入しているわけですから、示談の内容をよく確認して、加入する保険を利用して損害の賠償を行うことが一番の解決策と思われます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2003年8月掲載

火災による被害者に対する損害賠償義務について

分譲マンションの八〇二号室の賃借人であった者ですが、仏壇に供えていたろうそくが倒れ、火災が発生し、住んでいた八〇二号室と隣の八〇一号室を焼失してしまいました。この場合、私の損害賠償範囲はどこまであるのでしょうか。

 失火による被害者に対する損害賠償義務ですが、これは明治三二年に制定された『失火の責任に関する法律』に明確に定められています。制定当時は、木造家屋が多く、家が建てこんでいる住宅環境であったため、延焼範囲が広がりやすく失火者の損害賠償能力をはるかに超えてしまうために、失火者の救済保護を目的としてこの法律が制定されました。
 この法律によると、「民法第七〇九条(不法行為)の規定は失火の場合には適用せず。ただし、失火者に重過失あるときはこの限りにあらず」と規定し、通常の過失による場合には損害賠償責任はなく、重過失がある場合に限り延焼した被害者に損害賠償することになります。重過失とは「わずかな注意さえすれば、簡単に違法有害な結果を予見できたのに漫然と事態を見過ごした場合」のことをいい、本件の場合は簡単に結果を予見し難く、漫然と事態を見過ごした訳でもないですから、重過失があったと認められず、一般的には延焼については(八〇一号室については)損害を賠償する義務はないといえるでしょう。
 しかし、賃貸借契約を締結している場合で、賃貸人(家主)に対して失火による被害を与えた場合は『失火の責任に関する法律』が適用されませんので、賃貸人である八〇二号室の所有者に対する損害を賠償しなければなりません。これは賃借人が賃貸人に対し賃貸借契約上負っている原状回復義務・善管注意義務が果たせなくなり、賃貸借契約の債務不履行になってしまうからです。よって、たとえ失火の原因が重過失によるものでなくても、八〇二号室の所有者に対して損害賠償責任を負わざるをえないといえます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2003年10月掲載

専有部分への立ち入りについて

先日、私の区分の天井から漏水がありました。管理会社と保険会社が、漏水の原因を調査するために、上階へ立ち入りさせてもらいたいのですが、プライバシーの侵害だと言って立ち入らせてもらえません。上階の専有部分が原因なのか、共用部分が原因なのかは上階に立ち入らないと分からないようです。このような場合、どうすれば良いのでしょうか。

 区分所有法第六条第二項には、「区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、または改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる」とあり、本問のように、天井から漏水があり、階下の区分所有者や管理組合役員から専有部分への立ち入りを求められた場合には、その原因を究明するために、立ち入りを拒否することはできないでしょう。
 この場合、プライバシーの侵害だけでは、正当な理由とは言えませんし、あくまでも立ち入りを拒否され、これを放置して被害が拡大した場合には、上階の区分所有者の不法行為になる可能性があり、損害賠償保険の対象にならず、直接損害賠償の請求を受けたり、保険会社から保険会社が支払った損害賠償金の請求(これを求償といいます)を受ける可能性があることなどを説明して、立ち入らせてもらうようにするのが良いでしょう。
 そして、立ち入らせてもらう場合には、誰しも他人に自己の居室を見られるのは嫌なことですので、立ち入る居室の整頓などを準備するために、立ち入る日時や場所を具体的に話し合う必要があります。
 また、立ち入る人は、階下の区分所有者と工事業者だけに任せるのではなく、上下階の区分所有者が険悪な関係にならないように配慮する必要があり、管理組合の役員が立ち会うのが良いでしょう。
 いずれにしても、管理組合と上階の区分所有者、上下階の区分所有者間で法的紛争にならないようにすることが重要です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2007年3月掲載

複合用途型マンションの店舗騒音について

理事長をしています。当マンションではカラオケ店が営業(深夜営業も行っている)しており、深夜の騒音に対する苦情が出ています。管理組合としてどのような対応をとれば良いでしょうか。管理規約では、マンションの一・二階部分を事務所または店舗として使用することを認めています。

 区分所有法では、区分所有者は建物の保存に有害な行為、その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはいけないと定められています(区分所有法第六条第一項)。
 お問い合わせの店舗が通常の営業行為の中で、住民の許容できる限度を超えた騒音などを発している場合、共同の利益に反する行為ととらえることができるでしょう。
 この場合、管理組合は共同の利益に反する行為の差止めを請求することができます(同法第五七条)。また、当該行為により区分所有者の共同生活上の障害が著しい場合には、専有部分の使用禁止を求めることも可能です(同法第五八条)。
 これらの請求は、総会の決議によって訴訟を提起することが可能ですから、管理組合で対応を協議され、相手方と騒音対策を話し合って対処されてはいかがでしょうか。
 また、将来同様のトラブルが再発しないよう、店舗を目的とした専有部分の使用を禁止または店舗の業種・営業時間を制限するなど、管理規約の整備を検討されても良いのではないでしょうか。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2009年9月掲載

自宅で学習塾を開設することは規約違反にあたるか

理事長をしています。区分所有者から「自宅で学習塾を開設したいので許可してほしい」との申し出がありました。当マンションの規約では「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」と定められていますが、自宅で学習塾を開設することは規約に反することになりますか。

 マンションの区分所有者は、「建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」(区分所有法第六条第一項)をしない限り、専有部分をどのような用途にも使用できるのが原則です。
 しかしながら、多くのマンションでは、規約で「専ら住宅として使用する」というように専有部分に用途制限が加えられています。この場合、専有部分の用途が「専ら住宅として使用する」にあたるか否かは、居住者の生活の本拠があるか否かによって判断されることになり、さらに、生活の本拠で有るために必要な平穏さを有することも求められます。
 本問が具体的に規約に違反するか否かは、次のような基準で判定する必要があります。
  • (1)個別指導などの形態で極少人数を対象に自宅で指導する場合は、他の住戸に特別な影響を与えるものではないので、問題ないでしょう。
  • (2)一般的な学習塾でも少人数では問題ない場合もあるが、やはり規模や人数、時間帯や頻度などを考慮して判断する必要があり、住宅地にあるマンションでは用途制限に違反する場合も出てくるでしょう。
 いずれにしても、住宅の使用方法の良し悪しを定義づける客観的な基準を設けることは困難です。マンションの実情に応じて、規約や細則で、用途制限に違反する営業行為等の判定基準を定めておくのも一つの方法です。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2012年9月掲載

専有部分内のゴミの撤去について

管理組合の理事長をしています。専有部分内に多量のゴミを放置している区分所有者がいるのですが、それらのゴミから悪臭と害虫が発生しており、周囲の居住者が大変困っています。当該区分所有者は居住していますが、ゴミの撤去を要請しても「近いうちに片付ける」と言うばかりで、ゴミを撤去しようとしません。管理組合としては、どのような対応をすればよいでしょうか。

 専有部分内にゴミを放置することで発生する悪臭と害虫により周囲に迷惑をかけることは、区分所有法第6条に定める「共同の利益に反する行為」に該当すると思われます。
 このような場合、まずは当該居住者に周囲の居住者の困っている状況を理解させるために電話、訪問等によりコミュニケーションを図ることが必要です。もし、連絡先が分かるのであれば、当該居住者の親族の方に状況を説明し、ゴミの撤去を要請することも考えられるでしょう。
 それでも、状況が改善されない場合、管理組合は総会の決議により、共同の利益に反する行為の停止(専有部分内のゴミの撤去)を求めて当該居住者に対し、訴訟を提起することができます(区分所有法第57条)。
 裁判により管理組合の請求が認められたにもかかわらず、当該区分所有者がゴミを撤去しない場合、管理組合が裁判所に強制執行の申立てをすることにより、執行官による代替執行(ゴミの撤去)が行われることとなります。
 ただし、強制執行による解決は、相当の時間と費用がかかる上に、当該居住者との間に心情的なしこりが残ることや強制執行後に当該居住者が新たにゴミを放置し始めることが懸念されるため、できるだけ話し合いにより解決を図ることが望ましいでしょう。
 同様のケースで、居住者との話し合いにより居住者がゴミの撤去費用を捻出できない事情が判明し、その費用を管理組合が立て替えることで、解決した事例もあるようです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2016年5月掲載

住戸のシェアハウスとしての利用を規制できるか

管理組合の理事長をしています。当マンションでシェアハウスとして利用されている住戸があることが分かりました。その住戸の区分所有者は、室内を改修して間仕切りをいれ、不動産会社を仲介業者として契約し、複数の第三者を当該住戸に入居させているようです。約50平方メートル程度の専有部分に、管理組合の許可なく間仕切壁を増設するなどのリフォームが実施され、多くの住民(10人程度)が、該当住戸に出入りする姿が目撃されるようになり、「ゴミの分別がされていない、夜遅くまで騒いでいる」などの生活マナーが守られない状況が報告され、住民に不安が広がっています。住戸をシェアハウスとして利用することは規制できないでしょうか。当管理組合の管理規約は、マンション標準管理規約に準じています。

 シェアハウスは、1つの住戸を複数人が共用して暮らす賃貸物件で、キッチン・リビング・バスルームなどを共用し、寝室として個室を確保しているのが一般的です。「共同生活を通じて住民同士のつながりを深める」というコンセプトのもと、若者を中心とする層に支持され、家賃負担を軽くしたいという事情や、家賃収益を大きく増やしたいという供給側の期待があり、新しい生活スタイルとして広がりを見せています。
 こうした事情を反映して、シェアハウスは一戸建て住宅だけでなく、分譲マンションでも見られるようになりました。しかしながら共同生活のマナー・ルールが守られない、住居内の大幅改修による建築基準法や消防法などの法令適合可否など、問題となるケースも出てきました。
 マンション標準管理規約第12条では「(専有部分の用途)区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」と規定があり、同条のコメントでは、「住宅としての使用は、専ら居住者の生活の本拠があるか否かによって判断する。したがって利用方法は、生活の本拠であるために必要な平穏さを有することを要する」とされています。
 本問のマンションは、「生活の本拠であるために必要な平穏さを有することを要する」という状況からは程遠く、管理規約に違反しているといえると考えられます。ただし、具体的にどのような使用態様が管理規約第12条に違反するものとするかは明確な基準はなく、裁判などにより個別に判断されるものであることに注意が必要です。
 このようなトラブルを未然に防止するため、専有部分の修繕工事の届け出義務や承認プロセスを強化し、「建築基準法や消防法に抵触するような間仕切壁設置の禁止」、「承認のない工事は実施してはならない」などの規定を設けるなどの対策を講じておくことが望ましいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2018年9月掲載

騒音トラブルはどう対処すればよいのか

マンション居住者間の騒音トラブルについて、どのように対処すればよいでしょうか。

 マンションをはじめとする集合住宅と生活騒音の問題は、切っても切れない関係にあります。
 生活騒音には、(1)洗濯機・掃除機などの家庭用機器を原因とする騒音、(2)扉・風呂などの住宅設備・構造を原因とする騒音、(3)テレビ・オーディオ機器・楽器などの音響機器を原因とする騒音、(4)話し声・ペットの鳴き声・足音などを原因とするその他の騒音とに区分されます。
 これらの生活騒音は、騒音を発生させている居住者が、騒音を発生させないように工夫、対策をすることにより、周囲への影響を小さくすることが可能です。しかしながら、騒音被害を訴える居住者は、大きい音だけを騒音と感じるわけではなく、小さくても継続して鳴り続ける音を騒音と感じることもあります。どのような音を騒音と捉えるかは受け取る人によって異なる点が、騒音問題の難しさでもあります。
 騒音問題を解決するために、騒音被害者が騒音加害者に対し、改善を要求する方法がありますが、円満に問題を解決するためには、感情的にならないことが大切です。感情的になってしまうことで、当事者同士の関係が悪くなり、騒音以外の問題に発展する恐れがあるため、あくまでも冷静に話し合うことが肝心です。
 また、初めから当事者同士が直接話し合うことは避け、管理組合に、居住者全体に向けた注意文を掲示してもらい、様子を見るのもよいでしょう。
 生活騒音は、生活の中で発生するものであって、完全になくすことはできません。しかし、居住者間で互いの事情を理解し、騒音対策をとることにより、円満に問題を解決することも可能です。
 それでも、当事者同士での話し合いにより問題が解決しない場合は、法的手段により解決を図るため、弁護士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2020年9月掲載

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