理事長(管理者)をしています。理事会にて玄関の横にある植栽を撤去して、その場所にスロープを設置することを検討しています。私自身はこの案には反対なのですが、理事会では理事の過半数の賛成により可決され、次回の総会の議案として上程することとなりました。理事会で可決されている以上、理事長である私は総会では賛成票を投じなければならないのでしょうか?
区分所有法第26条では、理事長は、一般的に、共用部分を保存し、集会の決議を実行し、規約に定められた行為を行う権利を有し、義務を負うと定めています。
また、標準管理規約第37条第1項には「役員は総会及び理事会の決議に従い、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとする」と定めがあり、本問のマンションの規約にこの定めがあるのが通常であり、この規定により、総会招集権者であり、議案の提案者である理事長は、理事会の決議を誠実に遂行する義務があるため、総会で反対票を投じることはできないと考えるべきです。
一方、仮に、規約にこの定めがない場合は、理事長は、賛成票を投じる義務があると考えるべきです。
なぜなら、理事長は、総会を招集し、理事会決議の議案の提案者であることから、理事長の意見と理事会の決定が異なることは議事運営にも好ましいことではなく、殊に該当議案に賛成する意思で理事長宛てに委任状を提出してくる組合員の意思と齟齬することも考えられ、理事長が反対票を投ずることはできないと考えます。
なお、理事長の意向と理事会の決議とが異なることは、総会の議事運営やその後の決議の実行にも影響することがあり、理事会内にて内容をよく協議し、意見を一つにまとめてから総会議案として上程することが求められます。
そして、理事会内でどうしても意見がまとまらず、理事長が総会で反対票を投じる意思を変えることができない場合は、理事長を辞任し、新たな理事長のもとで総会を招集し、総会を開催することが最も適正なことといえます。
しかし、理事長が辞任もされず、総会が招集される場合には、委任者の意思と受任者の議決権の行使が齟齬することのないように、あらかじめ理事会が決議し、総会に議案を上程するに至った経過や理事長が該当議案に反対であることの経過報告を総会議案書等に記載し、全組合員に通知しておく必要があるでしょう。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2014年1月掲載
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