暴力団にとってマンションは第一に堅固な構造で、第二は居住者同士が干渉しないという秘匿制があり、第三に対立組織の攻撃に対し住民を楯にできるという利点があるので、格好の隠れ家になっています。
- ①入居前の予防策
暴力団構成員の入居や区分所有権の取得、暴力団構成員に対する譲渡、賃貸などを禁止する明文を定めることが有効です。暴力団も入居に先立ち、事前に管理規約をチェックしてきちんとした管理をしているマンションは敬遠します。
- ②入居後の対処
区分所有法第7節「義務違反者に対する措置」は、第57条第1項で、区分所有者が共同の利益に反する行為をした場合、又はその行為をするおそれがある場合、他の区分所有者はその行為を停止し、またはその行為を予防するための必要な措置を執ることを請求できると定めています。具体的には、内容証明郵便でその行為の差止請求をするといったことです。
他にも同条第2項で一般的な訴訟による差止請求、第58条で専有部分の使用禁止請求、第59条で区分所有権の競売請求、第60条で占有者に対する引渡請求が定められています。
これらの請求を行う場合は、総会における議決が必要となりますが、差止請求訴訟の場合は区分所有者および議決権の各過半数の賛成で足りますが、第58〜第60条の訴訟の場合は4分の3以上の賛成が必要になりますので、注意してください。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
1995年1月掲載