失敗も、演じることも、すべてが生きる力になる~教室から社会へ届ける「心の安全基地」~

- 松下 隼司 さん/小学校教諭
- 松山市出身。2003年より大阪府公立小学校教諭 。著書に絵本『せんせいって』『がっこうとコロナ』、教育書『教師のしくじり大全』『先生を続けるための「演じる」仕事術』など。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰。日本最古の神社、大神神社(奈良県桜井市)の短歌祭で額田王賞を受賞。教科書編集委員。
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現在の活動と原点
小学校の教壇に立ち続けて24年目です。子どもたちと向き合う日々の中で、私が何よりも大切にしているのは「教室の中に心理的安全性をつくること」です。しかし、最初から理想的なクラスをつくれたわけではありません。若い頃は、自分の理想を押し付けるあまり、学級経営で行き詰まるという大きな「失敗」も経験しました。
そんな私を救い、現在の教育スタイルの礎となったのが、20代の頃に10年間没頭した「演劇」の経験です。舞台の上で他者の人生を生き、表現することの難しさと喜びを知ったことが、教員としての私の視点を大きく変える契機となりました。
演劇経験と失敗の価値
演劇の技術は、実は学級づくりと非常に親和性が高いのです。相手の言葉を全身で聴くこと、自らの感情をコントロールしながら表現すること。これらを授業や日常の関わりに取り入れることで、子どもたちが安心して自己表現できる空気が生まれていきました。
また、私がもう一つ大切にしているのが、自身の「失敗談」をオープンにすることです。大人が完璧ではない姿を見せ、「失敗しても大丈夫、そこから学べばいい」という背中を示す。TEDxの舞台に登壇した際も自身の失敗エピソードを話しました。「失敗の共有」は、教室の心理的安全性を高めるための、私なりの確信でもあります。
絵本やメディアを通した発信
こうした現場での気づきや、コロナ禍における学校のリアルな姿をより多くの人に届けたいという思いから、近年は執筆活動や音声メディアでの発信、そして絵本の制作にも取り組んできました。
共著で出版した絵本『せんせいって』や『がっこうとコロナ』は、子どもたちだけでなく、日々悩む保護者や同僚の教員たちからも大きな反響をいただきました。学校という場所が、ただ勉強を教えるだけの空間ではなく、人と人とが体温を感じながらつながり合う場所であってほしい。そんな願いを、一枚一枚のページや、日々のコラムの文字に込めています。
これからの展望とメッセージ
日々、家庭では二人の子どもの父親として育児に奮闘しながら、仕事との両立を模索する毎日です。自分の背中を通じて、次世代を育てる大人たちにも「もっと肩の力を抜いていい」と伝えたいです。
これからも教壇という人生の主舞台に立ちながら、言葉と表現の力を信じ、子どもたち、そして社会に向けて「安心して挑戦できる未来」を発信し続けていきたいと考えています。
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