連載コーナー
本音のエッセイ

2026年4月掲載

日本はもう「二季」?

立花 義裕さん/気象学者

立花 義裕さん/気象学者
気象・気候変動の専門家として『羽鳥慎一モーニングショー』をはじめ、ニュース番組などで異常気象を精力的に発信。ワシントン大学等を経て、三重大学教授。2025年の新語・流行語大賞を「二季」でトップ10受賞。日本気象学会理事。著書『異常気象の未来予測』(ポプラ新書)。

ボクは、異常気象の解説で、テレビにときどき出させてもらっている。出演時に意識しているのは、視聴者の心に刻むような、キラーワードを意図的に使うようにしていることだ。「二季」がその代表例だ。

「夏と冬しかない日本は嫌だ」という感情に訴え、「地球温暖化に苦しみ、おかしいぞ」と気づき、「元の美しい四季に戻そう。CO2を減らそう」という行動変容への期待からだ。

その「二季」が、2025年の新語・流行語大賞トップ10に選ばれ、授賞の盾を頂いた。これは名誉である一方で、「選ばれたこと自体が、皆さんの気候への意識の変化の表れ」だと感じる。世論形成がテレビからSNSに置き換わったといわれるが、ボクはSNS発信を行っていない。だから「二季」はマスコミが着火し、その後皆さんが自発的に広めた流行語だ。マスコミと、SNSが相乗作用したときに、流行が爆発するのだろう。

二季化の原因は、石油石炭などの消費に伴うCO2増加による地球温暖化だ。だから「二季化を防ぐ」ためには、CO2削減が待ったなしなのだ。

「私1人が削減しても、何も変わらない」という声をよく聞く。でも、1人1人のすることは、ほんのちょっとでいい。CO2削減は、熱心な人が1人いるよりも、ちょっと行動する人が100人いる方が圧倒的によい。ある程度の大きさの流れができれば、ドミノ倒し的に世論が雪崩打つからだ。これは、流行と似ているし、国政選挙とも似ている。1人の投票では何も変わらないのではなく、皆がちょっと動くだけで、大きな潮流が生じる。だから温暖化対策を「すこしだけ」する人が増えるだけでいい。美しい四季の源である気象現象を「すこし愛して、なが〜く愛して」の人が増えればよいのだが、愛だけでは足りない。それはお金だ。例えば、「楽しくて儲かる(得をする)温暖化対策」は、愛とお金の両方を満たす。

都市中心部のマンションに多くの人が移り住むことは、CO2削減に効果的だ。中心部にコンパクトに都市機能が集中しているほうが、郊外に機能拡散した都市よりも、トータルで見たエネルギー効率が良いからだ。

また、ZEH-M(ゼッチ・マンション)は、断熱性の向上や太陽光発電等により、マンション全体の1次エネルギー消費量を実質ゼロにするマンションだ。これは、「楽しくて儲かる対策」の好例。気象由来の自然エネルギーを使うと、毎日の気象を気にするようになる。「気になる」は「好き」への第一歩。

「喉元過ぎれば熱さ忘れる」の文字通り、昨年の史上最高の暑さ、お忘れでは?まもなくその夏がやって来る。夏が来る前に、「二季」の原因を思い出してほしい。愛は、地球を救うのだ。誇張ではない。

(無断転載禁ず)

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