CMソングは応援歌 ~架空の曲で150人の心を一つに~

- やなせ 京ノ介 さん/CMソング作家
- 「架空のCMソングを作るユニット・キシリ徹」主宰、「合同会社グッドCM」代表社員。75曲以上の架空CMソングを制作。2020年頃より実在企業からのオファーも増加。30曲の実在CMソングを制作し、PR施策にも携わっている。出身地の北海道のローカルCMソングを、THE FIRST TAKE風にカバーする動画も好評で、YouTubeにてシリーズ累計50万回以上再生されている。
https://kishirinicecmsongs.com/
架空のCMソング
私は「架空のCMソングを作る・キシリ徹」というユニットを主宰している。
架空の企業から、架空の依頼をもらい、架空のCMソングを作り続け、これまでに75曲を作曲した。
代表曲は、架空の調味料『味那十(みなと)みょうがぽん酢』、アルパカがたくさんいる架空のサファリパーク『アルパカ毛むくじゃランド』など。どの曲も、架空の企業と、架空の企画会議を行い、こだわり抜いた楽曲だ。
2020年頃より、実在の企業からも依頼をいただくようになり「横浜ランドマークタワー」のラジオCMや、TBSラジオの番組『こねくと』の番宣CMソングなど、30曲を作曲している。昨年11月には法人化し、「合同会社グッドCM」を立ち上げた。
CMソングが好きで架空で作り続けているうちに、実在の依頼をいただくようになり、会社までつくることになるとは想像していなかった。架空みたいだが、全て本当の話だ。
CMソングは応援歌
活動を通じて気付いたのは「CMソングは応援歌である」ということ。
CMソングは企業や商品の特長を、曲に乗せて伝える。1度作ったメロディーは繰り返し歌われ、商品のポジティブなイメージが多くの人に伝播していく。CMソングが聞いた人の耳に残り続けるのは、「企業と作曲家が、商品の良さに向き合い、考え抜いた”応援歌“だから」ではないだろうか。
もともと私は、いちCMソングファン、広告ファンである。残念ながら、現代において広告は“課金してでもスキップしたい、嫌われもの”になってしまっている面もある。
だが、CM“ソング”について会話すると、広告ファンでなくとも「好きで、なぜか口ずさんでしまう」曲が、1曲以上はあるという人が多い。CM“ソング”は、まだそこまで嫌われておらず、「妙なおかしみがあり、なんか気になるもの」と認識されている印象だ。
涙を誘うCMソング
我々は「架空のCMソングを、30曲以上演奏するライブ」もやっている。昨年のワンマンでは、150人規模のライブハウスが満員御礼となった。
生演奏に合わせ、存在しないCMソングを、100人以上の大人が歌う様は、異様で、圧巻だった。多くのお客さんに楽しんでいただけた。終盤には、なぜか涙を流している方もいた。「架空とはいえ、これだけ人のことを褒める歌が何曲も続くと、グッとくるものがあって涙が出た」とのことだった。その言葉を聞き、私もグッときた。
CMソングの可能性
CMソングにはまだ見ぬ可能性がある。音楽的な面白さに加え、応援歌的な側面があり、みんなで楽しく歌い続けられる。そこには、関わる人たちのポジティブな思いが乗っている。
愛のある応援歌が増えれば、広告は嫌われものから、もっと見たい・聞きたいメディアに変わるかもしれないと、本気で思っている。これからも、架空・実在のクライアントの皆さんとともに、お客さんを喜ばせる「CMソングという応援歌」を作っていきたい。
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