連載コーナー
本音のエッセイ

2024年9月掲載

チビで太ってニキビの醜かった私が…

ダニエル・カールさん/タレント、山形弁研究家

ダニエル・カールさん/タレント、山形弁研究家
アメリカ出身。智弁学園と関西外国語大学に留学経験あり。米大学卒業後文部省英語指導主事助手として山形県に赴任。その後東京で起業しタレント活動も開始。東日本大震災からはボランティア活動にも注力。現在はタレント活動とともに全国で講演を多数行っている。
 

私の人生はなかなか波乱万丈だった。特に子ども時代は今振り返ると壮絶で、卑屈で暗い人間になってしまっても不思議はなかったのだが、今、妻は私によく「ポジティブだよね。見習わなくちゃね」と言う。

 

私の両親は私が幼いころ離婚している。当時は自分を責めた。自分が悪さをするから離婚したんだと思い込んで深い傷を抱えていた。離婚後は父と祖父と3人で小さなオンボロのアパートで共同生活。父は仕事を掛け持ちして生計を立てていたから、老いた祖父の世話はもっぱら私の役目。今でいうヤングケアラーというやつだ。

 

12歳ごろには学校と家の修理や家事を繰り返すだけの日々で、近所に友達もおらず、すっかり内向的な子どもになっていた。父親は朝から晩まで仕事で相談もできず、唯一の癒やしはアイスクリームを食べること。いつの間にか私は、チビで太ってニキビだらけの醜い子どもになっていた。

 

苦しさから不平や皮肉をぶつけ、ますます人との距離をとるようになり孤立。どん底だった。自分はなぜ生きているのか分からなくなっていた。

 

そんな中、一筋の光はフットボールだった。フットボールをやっているときだけは嫌なことを考えずに夢中になれた。でも地元のフットボールチームに入りたいと思ったとき、体重オーバーで無理だと言われたのだ。人生が終わったと思った。でもそのときコーチが、1週間で5キロ落とせればチームに入れてくれると提案。私はその日からアイスクリームを止め、ジョギングをし、腹筋を300回やって、死に物狂いでダイエットをした。1週間後、私の体重は6キロ減。コーチは私の努力を誉め言ってくれた。「ほらな。本気を出せばなんだってできるだろ?」と。

 

その日から私は変わった。笑顔が増え、人にやさしくできるようになった。次第に周りの子どもたちからも好かれるようになり、認めてもらえるようになっていったのだ。

 

どうやったらプラス思考を手に入れられるか。まずは、フットボールじゃなくても何か一つ自分を幸せにしてくれるもの奮い立たせてくれるものがあれば、夢中になってみること。そして自分に降りかかっている苦難を冷静に分析すること。最悪死ぬのか?死なないんなら、まあ何とかなる。最悪に至らない可能性も十分ある。

 

もう一つのポイントは自分の力を見くびるなということ。新しいことを学んだり、チャレンジしたりすることに「遅すぎる」はないのだ。「好き」を実現させるためにものすごいパワーが宿るのだ。

 

毎日がつらいときに前向きになるのは本当に難しい。でもこんなルーティンはどうだろう。今日は友達と笑いあったみたいなことに「感謝してみる」、すごく嫌なことを言われたけど虫の居所が悪かったのかもねと「許してみる」、今日掃除を30分で終わらせた自分を「褒めてみる」。

 

泣いても笑っても1日は1日。どうせなら笑いたい。人生パーフェクトな人なんてどこにもいないのだから。

(無断転載禁ず)

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