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管理に関するFAQ


合理的な理由なく理事長が推薦する施工会社に発注することは問題ないか

マンションの理事をしています。今、大規模修繕工事を検討しており、仕様書、数量表を作成し、工事実績等施工会社に求める条件に達した工事会社3社により見積書の提示を受けました。その結果、A社4200万円、B社5600万円、C社4600万円でした。
 理事長(管理者)は、自身が推薦したB社を施工会社にしたい様子で、私を含む他の理事に対し、理由もなくとにかくB社で決定するように迫ってきます。私は、一番安価なA社が良いと伝えても取り合ってもらえず、施工会社を決める理事会を開こうとしません。
 1000万円以上も高額な会社に決めようとする理事長に問題はないのでしょうか。

 民法では契約の自由が定められており、一般的には総合的に良い(金額のみでなく)契約先を選ぶ場合が多いでしょう。
 本問のケースでは、一定条件を満たす工事会社に対し、同じ数量表と工事仕様書を示しているため、どの会社が施工しても同一の性能が想定されると考えられます。その状況下で理事長が最も高額なB社で決定しようとする行為に、合理的な理由がない限り、その差額1400万円について管理組合に損害を与える可能性があります。
 この合理的な理由がない場合(通常は1400万円もの差異が生じることはない)には、理事長が理事会の決議を経ずにB社と契約締結すれば、「自己若しくは第三者(B社)の利益を図り又は本人(管理組合)に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたとき」に該当するとして、刑法第247条の背任罪に問われる可能性があります。
 なお、理事会において、理事長が推薦するB社との契約締結の議案が理事の多数決で決議されて、B社と修繕工事契約を締結し、工事が完了して工事代金を支払った場合、理事長だけでなく、この議案に賛成した理事の方々も、理事長と共謀したとして同じく罪に問われるおそれもあります。
 また、民法第644条によると管理組合の役員である理事は、「善良な管理者の注意」をもって委任事務を処理する義務を負っていますので、その注意義務を怠ったとして、管理組合に対して損害(工事代金の差額)の賠償を求められるおそれもあります。
 いずれにしても、理事長と理事の方々は、管理組合の重要な職務を行う権限を有していますので、善良な管理者としての注意義務にのっとり、その職務を遂行することが必要といえます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士

2023年5月掲載

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