区分所有法第19条は、管理費等の負担については、共用部分の持分割合とすること以外に、規約に定めることにより別段の定めをすることができることとしています。
そして、当該マンションでは、管理費等として外部所有者負担金の支払義務が規約に定められているとのことです。
そこで、当該住戸を購入し、新たに区分所有者となった買主は、同法第8条の「特定承継人」に該当し、滞納された管理費等の弁済がないまま区分所有権が譲渡された場合には、債務者たる区分所有者の特定承継人に対して、滞納されている管理費等の請求を行うことができることを定めています。
したがって、原則、同法第8条に基づいて特定承継人に当該住戸の売却時に滞納されている管理費等を請求することができます。
しかし、同法第8条に基づく特定承継人に対する債権の行使には、その債権に一定の要件が認められることが必要とされていて、過去の判例においても、特定承継人への請求が認められなかったケースもあります。
一定の要件としては、当該債権の請求が管理規約もしくは集会の決議に基づいていること(債権発生の根拠)、当該債権が建物またはその敷地もしくは付属施設の管理または使用に関する区分所有者相互間の債権であること(債権の規約事項)、当該債権の付従性(支払債務の承継に関する管理規約の規定)があること等、これらの要件を総合的に判断して請求の当否が決定されることになります。
場合によっては、当該債権の発生根拠が認められない、当該債権が規約事項として認められないなどと判断され、特定承継人への請求が認められないことも考えられます。
以上のことから、特定承継人への請求が認められないケースがあるというリスクを、管理組合として十分に理解した上で、管理会社等と協力し、滞納が長期化しないための取り組みを進めることが望ましいでしょう。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2019年9月掲載