昨年度の通常総会で大規模修繕工事実施の決議がされましたが、本年度の理事長(管理者)が工事を発注しないため、大規模修繕工事が行われません。総会決議はされたものの、時期尚早として理事長が発注を保留しているようです。総会での決議事項を理事長の個人的な考えで実施しないことは許されるのでしょうか?
区分所有法第26条第1項では、マンションの維持管理をスムーズに行えるように、「管理者は、共用部分である建物の敷地及び付属施設等を保存し、集会の決議を実行し、規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う」と規定し、また同法第25条第1項では「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任することができる」と規定し、管理者の制度を定めています。
マンション標準管理規約の管理者に関する規約を採用しているマンション管理組合であれば「理事長は、区分所有法に定める管理者とする」と規定しているため、理事長は集会の決議を実行する義務を負うことになります。よって、本問のように、理事長が個人的な考えで総会で決議された大規模修繕工事を実施しない行為は、理事長としての重大な義務違反といえます。
また、大規模修繕工事の実施を遅延させたことにより、管理組合に何らかの損害を生じさせた場合には、債務不履行による損害賠償責任を問われることもありますし、各区分所有者は、総会決議や訴訟により理事長を解任することも可能です(区分所有法第25条第2項)。
それだけに、マンション管理組合を円滑に運営する上で、理事長(管理者)の責任は重大であり、権利および義務を誠実に行うことが求められます。
まずは、理事長に法に定められた集会の決議を実行することの必要性を理解してもらい、速やかに大規模修繕工事の手続を行うように促すことが重要といえます。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2011年8月掲載(2025年2月更新)
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