マンションのバリアフリーをまずエントランス周りから考えていきます。敷地の入口からエントランスホールに至る経路で、まず障害となる要素としては、ポーチの段差があげられます。
通常、建物の玄関に当たる部分は、雨水の浸入を防ぐために周囲より少し高くする傾向があります。最近ではバリアフリーの意識が浸透していて、その段差をスロープで緩やかにつなぐ方法がとられることが多くなりました。
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」通称「バリアフリー新法」と呼ばれているものには、「傾斜路」の構造基準が定めてあります。
まずポーチにスロープを設ける場合には、有効幅を120センチ以上(階段併設の場合は90センチ以上)とし、必ず手すりを設け、床は滑りにくいもので仕上げ、その勾配は12分の1以下(段差が16センチ以下であれば8分の1以下でもよい)とし(これは30センチの段差を上るには、長さ3メートル60センチ以上のスロープが必要になることを意味します)、高さ75センチ以内ごとに踏幅150センチ以上の踊り場を設けなければなりません。ただし、既存のマンションに上記のスロープを設置する義務はないものの、改修する場合はこの法に基づいて改修する必要があります。
マンションのアプローチは、車寄せ、駐輪場、駐車場、消防活動用スペースなどとの絡みもあるので簡単には計画できない場合も多いのですが、将来も安心して住み続けるためには、専門家の知恵を借りながら、ハートフルなマンション造りを進めていくことが望まれます。
スロープ設置前 | スロープ設置後 |
2011年5月掲載
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