理事長(管理者)をしています。賃借人として住んでいる人が当マンションの使用細則を守らず、迷惑行為を繰り返し困っています。賃借人本人に注意を行っても全く改善されないのですが、管理組合としてはどのような対処をしたらよいでしょうか。
標準管理規約第19条(専有部分の貸与)では、「区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない」と定めています。さらにその貸与する者(区分所有者)は、契約の相手方に規約および使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならないと定めています。
賃借人が使用細則を守らない場合は、まずその賃借人に対し文書等で、誓約書に基づき管理規約・使用細則は必ず守る義務があることを改めて説明し、違反行為を止めるよう勧告することが第一です。
管理規約に上記のような定めがなく、誓約書等がない場合であっても、区分所有法第6条(区分所有者の権利義務等)第1項は「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と定めており、第3項ではこの定めを「区分所有者以外の専有部分の占有者に準用する」としています。
さらに同法第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)で、「第6条第1項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる」としています。
賃借人の迷惑行為が他の区分所有者への共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去することが困難であるときは、管理組合は賃借人に対し、同法第57条第1項に規定する行為の停止以外に、同法第60条(占有者に対する引渡し請求)に基づいて、専有部分の使用または収益を目的とする契約の解除およびその専有部分の引渡しを請求することもできます。
しかし、上記のような措置を取る前に、まずは、賃貸人である区分所有者に賃借人の違反行為を知らせて、賃貸人から賃借人に注意するよう求めるのが良いでしょう。また、管理組合としても、賃借人が入居する際に、使用細則を渡し、これを守る義務があることを伝えることで、トラブルを減らすことができるでしょう。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2014年12月掲載(2025年2月更新)
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