理事長(管理者)をしています。ある居住者(賃借人)が夜中に大きな騒音を発したり、共用廊下にゴミを放置するなどの迷惑行為(使用細則違反)を度々繰り返すため困っています。賃借人本人に迷惑行為をやめるように注意してもやめないため、当該住戸の区分所有者に賃借人の迷惑行為停止を要求しましたが、当該区分所有者は「自分には関係ない」と取り合ってくれません。区分所有者には責任はないのでしょうか?なお、当マンションの管理規約は標準管理規約に準じています。
標準管理規約第19条第1項に次の定めがあります。
「区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない」
本問の迷惑行為は使用細則違反とのことですから、区分所有者は賃借人に使用細則を遵守させていないこととなります。
従って、区分所有者である賃貸人が、賃借人に迷惑行為を防止するように注意をし、賃借人が区分所有者の注意を遵守しない場合には、管理規約等による種々の法的責任を負うことになります。
なぜなら、区分所有者は、使用細則に違反する建物の使用をしていることになり、そのことによって、法的責任を負う場合があるからです。
具体例としては、賃借人が「夜中に大きな騒音を発し」、他の居住者の睡眠を妨害しているのであれば、その居住者が賃貸人である区分所有者に対して使用細則の違反行為により、その損害賠償を求めることがありますし、使用細則の違反行為が区分所有者の共同生活上の支障が著しい場合には、管理組合から賃貸人である区分所有者に対し、建物の使用禁止の請求を受けることにもなりかねないからです。
賃貸人である区分所有者は賃借人に、使用細則を遵守するように説得することが求められ、説得に応じない場合には、賃借人との建物賃貸借を解除する必要が生じることにもなるでしょう。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2014年5月掲載
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