マンションでの補修に要する費用は、共用部分については管理組合が負担し、専有部分については区分所有者が負担するのが原則です。
本問は、専有部分にある設備機器(給湯器や空調機器など)が地震によって破損、故障したということであり、この修理費用を管理組合が負担するということは、区分所有者の共有財産である管理費用を特定の区分所有者のために費やすことになり、利益の享受において区分所有者間に不公平となりますので、適切な対応とはいえないでしょう。
しかし、被害を受けた専有部分の設備箇所が給湯器への水道配管や電気配線のような箇所の場合には、建物の効用のために設けられた電気配線・ガス・水道配管等の効用上、建物と不可分の関係にあるような設備を修理する必要があることもあり、区分所有者全体の利益に関わることでもあり、その一方で、これを専有部分の区分所有者に修理を委ねると、適正な修理が行われないで漏水事故などのおそれもあり、建物全体の効用に影響を及ぼすことも考えられ、その修理費用を管理組合が負担することが適正な場合もあります。
本問では、3分の1の給湯器が破損、故障したということですが、例えば、水道配管や電気配線の設備が破損しているおそれもあり、これらの設備の点検が必要であるとする場合は、その点検費用を管理組合が負担し、給湯器の修理費用を区分所有者が負担するという対応が適正と考えられます。
編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2023年3月掲載