外部からマンションの自室へのルートは、玄関ポーチからドアを開けエントランスホール経由が一般的です。
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」通称「バリアフリー新法」には次のような定めがあります。
出入口の内、少なくとも1つは、次に定める構造とすること。・幅は、内法を80cm以上とすること。
・戸を設ける場合には、自動的に開閉する構造又は車椅子を使用している者が容易に開閉して通過できる構造とすること
とあります。
平成15年4月以降に着工した新築マンションでは、この法が適用されています。
既設マンションの場合は、改修時には「基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と努力義務がうたわれています。
写真のマンションは、エントランスホール入口の扉が自閉式の両開きの木製扉でした。外気に面した開き扉は外の風で不意に開かないようにするために、強めの力で自閉するようにできています。そのため、出入りの際、幼児や手足の力の弱くなったお年寄りには負担が掛かります。車椅子使用の方の中には、介助者無しでは利用できない場合も出てきます。また荷物で両手がふさがっている時にも不便です。このマンションでは、居住者の多くが不便を感じるようになり、引き戸の自動ドアに改修することとなりました。
一見、改修は不可能に見えるマンションでも、専門家の知恵を借りれば良いプランができる場合もあります。誰もが快適に生活するために弱い者のニーズを取り入れた改修が望まれます。
スロープ設置前