マンションの壁に白い汚れが付着していることがあります。それらの多くは「白華現象(エフロレッセンス)」です。
雨水や漏水など空気中の二酸化炭素を含んだ水分がコンクリートと仕上げ材の隙間やひび割れを通り抜ける過程で生成された炭酸カルシウムや炭酸ナトリウムなどの塊です。
「白華」の原因は、発生箇所で異なります。今回は、住戸の玄関横にあるパイプシャフト扉周りの「白華現象」について紹介します。パイプシャフト内には、各戸の水道メーターや給湯器の配管が設置されています。配管の結合部や保温材の軽微な破損による漏水や結露水、給湯器の異常燃焼によるオーバーフロー水が、適切に排水処理できなかった場合に発生します。水の発生は継続的というより一時的に発生してパイプシャフト内でたまり、これが徐々に染み出したと推測できます。
扉の足元に発生していれば、扉の中の機器を確認します。扉の上の下がり壁なら上階のパイプシャフト内を点検。配管・機器に異常が認められない場合は、パイプシャフト内の排水口の詰まりと扉内の床面の防水措置を確認します。「白華」は水がなければ発生しませんから、それらに異常がなければ、漏水事故など住戸室内からの水の流入がなかったかまで、確認しなければなりません。結局、原因が分からない場合もあります。原因が特定できなくても配管・機器に問題なく同一箇所で再発しなければ、マンションの機能に重大な影響を与えることはありませんから、見栄え不良の処置を行えば十分です。タイル張りの場合はケレン清掃(白華塊かき落とし)を行います。吹付タイルなどの場合は、ある程度汚れを落とした上でタッチアップ塗装します。
もし、パイプシャフト内の床面に塗布防水などの防水措置が施されていなければ、同様の不具合が発生するたびに白華現象が懸念されます。こうした事例が一件発生した時を契機にマンション全館のパイプシャフト内の床防水を検討するのもよいでしょう。
「白華」はさまざまな箇所で発生し、水の流下経路も異なりますので、見つけた場合は対処法について管理会社の見解を求めておくこともよいでしょう。
2016年9月掲載
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