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新聞紙アーティスト/木暮 奈津子さん

木暮 奈津子さん
「作りたいものを自由に~不思議な海の生き物作り~」
Profile

木暮 奈津子さん/新聞紙アーティスト
1967年千葉県生まれ。武蔵野美術短期大学空間デザイン科、セツモードセミナー研究科卒業。個展、グループ展多数。ショップのショーウィンドウなども手がける。講談社「海のイラスト展」優秀賞、ボローニャ国際絵本原画展入選、ニューヨークソサエティオブイラストレーターズ立体展入選など受賞多数。
http://kame77.com/


 私が新聞紙で海の生き物を作り始めて、17~18年ほどたちます。

 丸めた新聞紙を木工用ボンドで固め、乾かし、その上から白い塗料を塗り、さらにアクリル絵の具で彩色をして、さまざまな海の生き物を作ります。作品にはタコやイカなどの軟体動物が多いです。最近は、魚に足をつけてタコにしたりと、独自で考えた不思議な海の生き物のオブジェの制作が中心です。

 「なぜ海の生き物なのか」と聞かれることがあります。私にとって海の生き物は形が自由で、どんな形や色のオブジェを作ることもできる存在だからです。深海の生き物は、見たこともない色や形をしています。いくらオブジェを作っても追いつかない、そんな海の生き物の魅力にひかれ、制作を続けています。

 私のオブジェは作って終わりではありません。

 オブジェを海に持って行って、岩陰に置いたり、浜辺に置いたりすると、なぜか本当の生き物のように見えてきて、オブジェが生き生きとしてきます。それを写真におさめることで作品は完成します。

 作品作りで大切にしているのは、オブジェに生命を持たせること。生き生きとした目など顔の表情がすごく重要となってきます。それぞれのオブジェに合わせて、笑った顔や困った顔にしたりしています。また、その時々の私の気持ちが反映されているときもあったりします。

イカちゃん、タコちゃん
イカちゃん、タコちゃん

 美大を卒業した後はデザイン会社に勤めていました。同じ職場の仲間たちには、皆それぞれ自分の作品と呼べるものがありました。私にも何かできないかと思い、海の生き物の制作を始めました。

 昔から絵を描いたり、物を作ったりするのが好きな子でした。母と新聞紙でダルマさんを作ったり、粘土でクリスマスケーキをよく作ったりしていました。

 また30代の時にニューヨークに行ったことも私の制作において重要な出来事です。メトロポリタン美術館の作品、特にアフリカンアートには圧倒され、驚きました。他にもニューヨークには、日本では想像できないぐらいの大きなギャラリーがあり、それらを巡り、レベルの高さを感じました。

タコ族
タコ族

 作品がたまって個展も開くようになりました。最初はお金をためて、レンタルギャラリーで開催。来てくれる人も少なくて、泣きそうになったことも。

 個展の思い出は良いことも悪いこともあります。「これはいったい何ですか?」「何のためにやっているのか?」と問い詰められるようなこともありました。それでも作り続けていたら、さまざまなご縁で個展を紹介してもらえる機会があり、お客さんが集まるようになりました。

 さまざまなワークショップを一堂に集めた「ワークショップコレクション」という大きなイベントがあります。これに参加し、無事に成し遂げたことで、自信がつくようにもなりました。

 そして、作品をコンペに応募していく中で、自分が心ひかれるものを自由に作った作品が評価されるようになり、「作りたいものを自由に」作っていいんだと思えるようになりました。

 また、個展は一点一点の作品の完成度と全体の構成の両方をよく考えて組み合わせないといけません。どちらかが駄目だと、わざわざお越しくださったお客さまに満足してもらえません。そのため、いつも試行錯誤を繰り返しています。

 今は企画展を開催してもらえることも増え、関係してくれた方やお客さまのためにも頑張りたい気持ちでいっぱいです。

ブルーナマコ
ブルーナマコ

 今、私はワークショップで日本全国に出向き、子どもたちと一緒に新聞紙でオブジェを作っています。子どもたちが作るオブジェにはとても夢があります。こちらが想像もできない、面白いオブジェばかりです。ある子どもがオブジェの顔にたくさんの目をつけている姿を見て、「目が2つ、口が1つである必要はないんだ」と新鮮な気持ちになりました。

 ワークショップは常に新しい発見があり、私に刺激を与えてくれます。今後もワークショップの活動は続けていきます。「最後は捨てる新聞紙でこんな物ができるんだ」ということも伝えられればと思っています。最近は、私のオブジェの作り方にも注目が集まっており、いつか作り方についての本を出版したいと考えています。

 これからも「作りたいものを自由に」という考えを大切にし、新聞紙で不思議な海の生き物を作り続けます。



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