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ジュエリーメーキングアーティスト/高木 洋恵さん

ジュエリーメーキングアーティスト/高木 洋恵
「アクセサリーの美しさへ飽くなき追求」
Profile

髙木 洋恵/ジュエリーメイキング・アーティスト
服飾デザイナーを経て、ネイリストに転身。同時に独学でビーズ制作を始める。コンテスト受賞多数。人気ドラマ『リアル・クローズ』『崖っぷちのエリー』に作品提供。アメリカ最大のビーズ誌『BEAD&BUTTON』の表紙をジュエリー作品で飾る。著書『髙木洋恵の世界 ボタンでつくるコスチュームジュエリー』。
http://www.beads-fan.jp



 アクセサリー作りを通して、私は美しいものを表現したいと思っています。

 私の美しいものに対する原点は、印象派の画集との出合いでした。幼い頃、母がよく見ていたセザンヌやルノワールの画集を、私も絵本代わりにのぞき込んで見ていました。画集には肖像画や風景画などの作品があり、特に肖像画の人物の服装のデザインや色彩の鮮やかさに、強くひかれました。「こんな絵を描いてみたい」と、いつしか画用紙にドレスを着た人形を描き、さまざまなデザインや色合いを考えるようになりました。

 「美しいものを見て、そこから自分で新たに美しいものを作りたい」。それが私の創作家としての活動の始まりであり、今も変わらない創作に対する思いでもあります。

 高校の家庭科で洋裁を習ったときに、みんな同じデザインの服を作りました。しかし、私は少しデザインを変えて作りました。その結果、先生からはより魅力的な服に仕上がったと誉めてもらいました。「ドレスを紙の上に描くだけではなく、多くの人に感動を与えるような実物のドレスを作りたい」と思うようになりました。

全米最大の「bead&button show」にてクラス講師を務める

全米最大の「bead&button show」にて
クラス講師を務める

世界に一つしかない作品を

世界に一つしかない作品を

クチュールフローラで作成したネックレス

クチュールフローラで作成した
ネックレス

 それがきっかけで、私はアパレル産業の道へ。服飾専門学校に通い、その後は、大阪市内の服飾関連会社に就職し、デザインや型紙作成から縫製まで、服が仕上がるまでの各工程を経験し、大切なことを多く学びました。しかし、就職して数年後、体調を崩してしまい、私は会社を辞めざるをえませんでした。

 その後、落胆した辛い日々を過ごしました。それでも周囲の温かい励ましを受け、もう1回頑張ってみようと奮起し、自分のペースでできることはないかと探し始めました。そして、デザインと色彩を工夫して美しいものを創作できる、ネイルアートの勉強を始めました。専門学校に入り、自分の受ける授業がない日も毎日学校へ通いました。新たな希望をつかみたいと懸命に勉強をしました。

 その甲斐もあって、ネイルアーティストとしてサロンワークや講師の仕事をするまでになりました。その当時、自分の仕上げたネイルについて、直接お客さまから感想を聞く機会を得たことは、大きな意味を持っていました。ほかの人に作品の美しさをどう感じてもらいたいのか、そのためには作品の中でどう表現すべきなのか、常に自問自答するようになりました。

 私はネイルの仕事に加え、趣味としてアクセサリー作りにも力を入れていました。周りの人から作り方を教えてほしいと頼まれるようになり、次第にネイルからアクセサリー作りへ活動を移しました。

 幼い頃から、印象派の絵画に登場するようなきらびやかなドレスや華やかな世界が大好きでした。その世界をアクセサリー作りの中で表現することはできないかと思うようになりました。

 そして、今から6年ほど前のこと。当時、手作りのアクセサリーの素材の主流はクリスタルビーズでしたが、私はそこに布地とリボンを加えて、自分が求めるきらびやかで華やかな美しさを表現しました。布地やリボンは、以前に服飾の仕事で慣れ親しんだ素材です。デザインを考える上で扱いやすく、あまり悩むこともなく落ち着いて創作に取り組めました。

 時々、「創作で大事にしていることは何ですか?」と質問を受けます。私は、「高価な材料に目を奪われるのではなく、無理をせず、自分が得意な素材を選んで、自分の好きな美しさを素直に表現すること」と答えています。

 作品を作っていると、理想と現実の間で溝が生じます。それを埋め、どうにかして作品で表現するということが、いつも課題となります。その時、これまで学び経験したことが助けとなります。アクセサリーの素材や作り方に固定概念を持たず試してみる。そこに、作品作りの面白さがあります。

 2008年に箱根の美術館で開催された『アーツJクラフツ展』で、私はゴールドクリエイター賞(厚生労働大臣奨励賞)を受賞しました。受賞作品は、レースをアクセサリーの土台に使ったもので、これまでに無い立体的な表現ができ、実用新案を取得しました。

クチュールフローラの技法を用い、生花をアクセサリーに

クチュールフローラの技法を用い、
生花をアクセサリーに

 その後、特に力を入れているのが、生花をアクセサリーパーツに加工する方法です。花のモチーフはとても人気があり、これが本物の花ならとても面白いと思いました。でも課題は山のようにありました。例えばアクセサリーの素材として使うには強度が低く、変色もします。解決方法を模索していると、以前にネイルアートで使っていたジェル加工をアクセサリー作りに応用することを思い付き、何度も実験と研究を繰り返し、ついに生花の持つ美しさを保ちながら素材として使う方法を考案しました。この技法は特許申請中ですが、私は「クチュールフローラ」と名付け、制作講座も始めました。この講座を学ばれた方から、生花を素材にしたオリジナリティ溢れるアクセサリーが誕生することを楽しみにしています。自分が育てた花を素材とすることも可能ですし、まだまだ研究を続ければ、もっと多様な美しさを表現できるのではないかと期待してます。

ドラマ『リアル・クローズ』使用作品

ドラマ『リアル・クローズ』使用作品

 私はアクセサリーに独自の表現方法を取り入れ、ここ数年はさまざまなことに挑戦してきました。一昨年テレビ放映されたドラマ『リアル・クローズ』では、作品を起用していただき、クチュールフローラ作品も数多く登場しました。ドラマの中で、「アンティークレースを使ったコサージュ」や「世界に一つしかない作品」を作ることができる、しかも「ハンドメイド」にこだわっているというアクセサリー作家の設定が、実際の私の活動と近いものがあったことも背景にありました。作品だけではなく、私の作品作りに対する考えや姿勢までが起用され、大変光栄なことでした。

 そして、活動の節目として、作品集をまとめました。その後も、メディアで紹介され、2010年5月には、リボンとボタンで作るアクセサリーを、NHK教育テレビ『すてきにハンドメイド』で紹介していただき、講師も務めました。

 これからもいろいろな素材を試して、美しく面白い作品作りを目指していきます。

 美しさを表現することへの飽くなき追求は、これからも続いていきます。



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