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野菜ソムリエ・フードプロデューサー/ゴトウ タカコさん

野菜ソムリエ・フードプロデューサー/ゴトウ タカコ
「野菜を五感で楽しむ」
Profile

ゴトウ タカコ/野菜ソムリエ・フードプロデューサー
フードプロデューサー 九州大学農学部卒。独立ソフト会社でSEを10年経験。退職後、WEB制作、塾講師などを経て現在は、野菜ソムリエ、フードコーディネーターとして、野菜&食育に関するイベントプロデュース、野菜メインのメニュー提案&スタイリング&撮影などを行っている。べジキッチン(野菜と果物のお料理教室)主宰。文化サークルの講師や専門学校の食育講師を務める。また西日本新聞や雑誌にコラム、レシピなどを執筆。日本食育者協会福岡支部事務長。
いいお野菜ドットコム : http://www.110831.com/
問い合わせ info@110831.com



野菜ソムリエとは

 私は、野菜ソムリエ&フードコーディネーターとして、現在食の世界でお仕事をさせていただいています。といっても、どんな仕事をしているか分からないと思いますが、お野菜レシピの開発、食のイベントやレストランプロデュース、食育活動、新聞や雑誌へのコラムやレシピ執筆、ゲストティーチャー、お野菜お料理教室主宰など、仕事内容はさまざま。あるときは、農家さんを回ったり、あるときはお野菜カフェをやったり、あるときは子どもたちにお野菜料理を教えたり。

 でも、どのような仕事でも私のテーマは「野菜」。お野菜って素晴らしいんです。色の多彩さ、香り、食感、また料理法によりさまざまに変化する、五感を目覚めさせてくれる、こんな素晴らしい食材に惚れ込んでいます。

 「野菜ソムリエ」とは、お野菜の魅力を皆さんにお伝えすることと同時に、生産者と流通、消費者の方との架け橋的な役割を担っている、と思っています。なかなか知ることのない食卓の向こうの世界。簡単便利になってしまってどうやってそのお野菜が畑になっているか知らない人も多いです。オクラが土の中でできる、と思っていた方もいたし、ニンジンもキレイに洗われているので、もしかしたら土の中で育っているのを知らない方もいるかもしれません。学生たちにソラマメを見せたら、知らない人が数人いました。中を割って見せると分かったりする(中身は冷凍食品で売っているからでしょうね)。ほうれん草の旬も知らない(冬です。栄養価も3倍くらい違うんですよ!)。せっかく四季のある日本に住んでいるのにどんどん旬がなくなっていく。これでは、なんだか悲しいですよね。孤食、個食など、食はただ空腹を満たすだけのものになりつつあるけど、ほんとは家族で団らんがあり、楽しむものだと思います。食は、カラダだけではなく、心もつくっている。食をもっと大切に思ってほしい。食をもっと楽しんでほしい。作った方にもっと感謝してほしい。そんな思いで「お野菜ファン」が増えるように活動しております。

ビタミン・ミネラル豊富なジュースは1日を潤滑に過ごさせてくれる。
写真はトマト+ジューシーオレンジ

ビタミン・ミネラル豊富なジュースは
1日を潤滑に過ごさせてくれる。
写真はトマト+ジューシーオレンジ

野菜に魅せられたわけ

 SEとして働いていた会社を退職してフリーでWEB制作を行っていました。その際に、ある八百屋さんのプロモーションサイト「いいお野菜ドットコム」を手がけたのも1つのきっかけ。

 八百屋さんのおじさんがお野菜やフルーツのことについていろいろ教えてくれたり、一緒に生産者のところに行ったりすると、その奥の深さに驚き、どんどんのめり込んでいきました。また、同時期に脳梗塞で倒れた父の介護をしていました。父は流動食しか食べることができず、いろいろな食材をミキサーで砕いて食事を作っていたのですが、肉や魚を使った料理は茶色やグレーで見た目に食欲がわかない。お野菜だと、赤や黄色、緑など見た目もおいしそうな流動食を作って食べさせてあげられる。お野菜料理はおいしいし、栄養もある。父も喜んで食べてくれました。そこでもまたお野菜の素晴らしさを発見したのです。だから、私はお野菜に敬意を込めて「お」をつけて呼ぶようにしています。

 そのころ「ベジタブル&フルーツマイスター」(通称野菜ソムリエ)という資格に出合いました。多彩な色、香り、味が楽しめるお野菜はとっても魅力的。調理するだけではなく、生産や流通、マーケティングなどいろいろな方面から学び、とことん向き合いたいと思い資格を取りました。それから現場を知るために、スーパーの青果売り場で修行。農家さんも回りました。いろんなシーンからお野菜を見て自分で感じたことを伝えていければ、と思っています。

これからは、「料理用トマト」に注目。リコピンも多いし、加熱すると甘くておいしい

これからは、「料理用トマト」に注目。
リコピンも多いし、
加熱すると甘くておいしい

この仕事の魅力

 やっていて良かったなと思うのは、生産者の方や生徒さんをはじめ、たくさんの方に出会えたこと。その中で多くのお野菜との出合いがあったこと。また、生産現場に行き、自分でも畑を耕すことで、生産者の方への感謝の気持ちが芽生え、食に対する気持ちが変わりました。皮や芯も捨てることなく食べなくてはと思うようになりました。生産場所、生産者、時期、天候で全く異なるお野菜の味。食欲をそそる香り。お野菜を知ることで五感が豊かになったような気がします。

 現在の仕事と生活のテーマは「食と農」です。数年間かけて八百屋さんやスーパーなどを見てきましたが「農薬は控えた方がいいが、虫が食っていたら売れない」という現実がありました。これは生産と消費が離れているから起こること。それに売る側の努力も足りないような気がします。虫が食っていて、傷んでいるからと廃棄されるお野菜を見ると心が痛い。まだ食べられるのにたくさんのお野菜が捨てられていく現実があります。生産者が心を込めて作った命あるお野菜を、消費者がありがたいと思っておいしく食卓に並べることができるといいですよね。そんな「生産」「流通」「消費」の橋渡しをうまくできればと思います。

食育活動

 今年、初めて小学校でゲストティーチャーをやりました。小学校5年生です。大根をテーマにみんなで格闘。びっくりしたのが、みんなの表現力です。大根の上と下と真ん中を食べさせると、「先生、上は甘いよー」「下は辛い」「真ん中はみずみずしいと思います」とのコメント。味覚がちゃんとしてるので、ちょっとほっとしました。大根ぎょうざを作ったときは(大根がぎょうざの皮になる)、薄くスライスした大根に塩をすると、水分が出てきてしんなりなるのが面白くて仕方がないらしく、塩をすりこむのにはまっている子も。また、みんなで大根を使ったジュースも開発しました。そうやって自分たちで調理をすると、ただの食材でしかなかった大根がみんなの中で変わっていく。どんな人が作ったんだろう。どうやって育ったんだろう。これを、班に分かれてさらに研究しました。最後は、イベントを行い、「大根ブックレット」まで作ってしまう懲りよう。きらきら光る子どもたちの目を見ていると、ああこの仕事をやっていて良かった、と心から思います。

 食育は、子どもだけではありません。本当は子どもに教えなくてはいけないはずの20~30代のお母さんも知らないことが多いです。大人の食育がまず必要だなと思うことが多々あります。「食育」なんて昔はごく普通の当たり前にやっていたこと。わざわざ習ったりするものではなく、毎日の暮らしの中で自然に覚えていったことのような気がしますけどね。

子どもたちは大根に興味津々。大根料理と格闘しています

子どもたちは大根に興味津々。
大根料理と格闘しています

お野菜お料理教室 ベジキッチン

 毎回お野菜のごはんやスープ、デザートも作ります。今の季節はソラマメごはん。お野菜や豆の旨みだけで、本当においしいごはんがたけます。旬の力って素晴らしいなあ、といつもお野菜に感謝。また、いろんな品種を食べ比べたりもします。あるときは、お野菜ゼミやクイズで盛り上がったり。お野菜を楽しむエッセンスがたくさんの教室です。

 私の料理に対する考え方は、「素材・旬を大事にする」「シンプルで簡単」「作るのも、食べるのも楽しむ」の3つ。これからも、多くの人にお野菜の魅力を伝えていきたいと思っています。



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