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152号 注目の人 タレント・エッセイスト/高見 恭子さん

「家族を結んでいるのは、尊敬ですね」
高見 恭子/タレント・エッセイスト
Profile

高見 恭子/タレント・エッセイスト
東京生まれ。
テレビCX『こたえてちょうだい』、TBS『ジャスト』、NHK-BS『シネマパラダイス』などに出演。
ナレーション、講演、舞台脚本執筆など、多方面で活躍。
『マザーズライフスタイル あなたが今いる優しい場所』(PHP出版)、『私は恋愛と悲しみの境を知らない』(世界文化社)、『あなたのきれいを見つける5週間レッスン』(成美堂)など著書多数。『愛猫の気持ちになれる本~猫からの101の質問』など、翻訳も多く手がける。パルコ毎日新聞カルチャーシティにて、講座 「自分を愛せる13の方法」の講師もつとめている。


家族が仕事のエネルギー源

 14才の時からです。最初はモデルからのスタートでした。自分自身も働きながら私を育ててくれた気丈な母から、「仕事を持って、自立した女性になりなさい」といつも言われて育ったせいか、仕事がとても好き、生きがいです

 娘を出産した時も、ラジオの生放送の番組を持っていましたので、やむなく21日目には仕事に復帰していました。出産の3日前にも、「行ってきまーす」って感じで(笑)。その娘も、もう4才になりましたが、赤ちゃんの時から病気もせず、まったく手のかからない子でした。仕事の時は、ベビーシッターさんにお願いしているんですが、迷惑をかけないようにと思っているのかもしれません。最近は私よりも自立しているみたい(笑)。

 今はプライベートな時間もあり、仕事も執筆も思うように出来、すごくバランスのいい時期と言えます。家事も育児も、仕事をする上での大事なエネルギー源になっています。でも、そう思えるようになるまでには、やはり時間がかかりました。  結婚したばかりのころは、仕事がしたくてすごく焦っていたんだと思います。結婚後、2倍以上に増えた洗濯物。山のような洗濯物を前に「洗濯するのは誰でもできるけど私に与えられた仕事をさせてほしい」って言ってしまったことがあります。今考えると、生意気ですけど、主人は笑いながら「いいよ」って言ってくれていましたが…。

 でも、子どもが生まれて家庭生活にも慣れると、本当に家族の健康や幸せがあっての私なんだなと、つくづく思えるようになりました。もともと、料理も好きですし、いつのまにか家事も仕事もうまく折り合いをつけながら、楽しめるようになりましたね。

尊敬しあえる夫婦でありたい

photo Yukitaka Seki

photo Yukitaka Seki

 全てに慣れるまで、主人が何も言わず見守ってくれたから、そう思えたのかもしれません。彼は、私の性格をよく知っていて、コントロールするのが本当に上手なんです。友だちに誘われて、夜外出したいと言うと、主人は「行きたいならいいよ」と。でも、ちょうど友だちと盛り上がっているころに電話をかけてきて、「今、何してるの?淋しいな」って。そうすると、何となく悪い気がして、帰らざるを得ない。なかなか上手い手ですよね(笑)。

 彼はどんなことにも真剣に体ごとぶつかっていくんですが、そのエネルギーで周りの人の心を自然に動かしていく、不思議な力を持っている人です。

 私は主人を尊敬しています。彼の肩書きを全部捨てたとしても、1つの魂として寄り添っていきたいと思います。価値観や感性もよく似ていますし、例え意見が違っても話し合って理解しあえる。私たち夫婦の根本にあるのは尊敬ですね。私も彼に尊敬されたいと思っています。「がんばってるね」という1言がすごく励みになるんです。
 

ストレスのたまらない子育て法

 もちろん、娘のことも尊敬しています。主人に似て、とても努力家なんですよ。少しぐらいの熱があっても、休まないで幼稚園に行こうとする。その姿を見て、偉いなと思います。

 子どもではあっても、1人の人格として認め、赤ちゃんの時から娘に対して、絶対に幼児語は使いませんでした。例えば「花が咲いていますね。どんな匂いですか」って。赤ちゃんはまだしゃべれないだけで、ちゃんと自分の考えを持っています。だから、娘が何を望み何を考えているのか、彼女の代わりにしゃべってあげる。赤ちゃんは、まだ話すことが出来ない分、ストレスがたまるんですよ。わからない時は「ちょっと待ってくださいね。考えてますから」とか、私自身もずっとしゃべり続けているとストレスがたまらない。これは、ぜひ育児中のお母さんたちにおすすめしたいと思います。

 私の場合、頼りにしていた母が結婚してすぐに亡くなってしまい、誰にも相談できなかったから、娘が生まれた時も病室のベッドで「どうしたらいいの。教えてください」って、叫びたい思いでした。娘にも教えてくださいって。そうすると何となくですが、教えてくれるんですよ。 

 娘には自分の気持ちをきちんと言葉に出して言えるようになってほしい。私はしつこいぐらい娘に言っているんです。うれしい時はどう表現するの?愛があふれてる時はどんな顔になる?って。日本人は恥ずかしがって、なかなか言葉では表現しませんが、どんなに愛していても言葉に出さなければわかりません。うちは、主人も私も言葉に出して誉めあいます。「かっこいいね」とか「世界1頭がいいわね」とか、ちょっとオーバーなぐらいに。これは、もしかしたら、私自身の子どものころのトラウマを癒しているのかもしれませんが…。

父から受け継いだ創造力

 私の父は、作家でとても神経質でしたから、いつも音を立てないようにと、家の中にはピーンとした空気がありました。父に抱っこされたり怒られたことも一度もないんです。父にはとても近づけなかった淋しさ。それは、私の心の中に今も残っているような気がします。 だからこそ、娘には天真爛漫に育ってほしいですね。家族の絆も人1倍大切にしたいと思っています。私にとって家族は1番の宝物ですから。

 でも、そういう父から、私は「創造力」という大きな贈り物をいただきました。作家という「家業」を、自分なりに継いでいきたいと思っています。

何事も、訓練と鍛錬

 父の影響で、最初のころは、文章を書くのは私にとって「聖なる仕事」でした。1人で静かに1つ1つの言葉を吟味しながら、という感じだったんですが、原稿を書き出すと娘が気を使って離れようとするんですね。それが可愛そうになってしまい、「ごめんね、もうすぐ終わるから」と言うと、今度は十分おきに「もう、終わりましたか?」って娘が声をかけてくる。そんな状況でも、書けるようになったんですよ。だから、人間って訓練と鍛錬で、何でも出来るようになるんだと実感しました。

 今は、キッチンの隅でも、どこでも書けますし、わずかな時間を割いて書いた原稿の方が上手なの(笑)。母親になると視点が変わり、これだけは言っておかなくちゃと書きたい材料がいっぱいたまってくる。まさしくこれは母力ですね(笑)。

 家ではなく、公園や図書館、車の中で原稿を書くこともあります。私のお気に入りのスポットが5つぐらいあるんです。文章の神様が降臨してくる場所が。そこに行くと、ワーッと文章が湧いてきて、今度はこんな本を書こうってどんどんアイデアがひらめくんです。自宅で書くのは、いつもクローゼットの中。クローゼットの中には、メモが箇条書きで貼ってあるし、狭いところで隠れるように書いてる姿は、ちょっと恐いかもしれない(笑)。

地域のネットワークで助け合う

フジテレビ「こたえてちょうだい」

フジテレビ「こたえてちょうだい」
photo Fuji Television

 このごろ、育児ノイローゼという言葉をよく聞きますが、出来るなら、1人で悩まずにどんどん相談した方がいいと思いますね。私も、娘が夜泣きしてどうしたらいいかわからない時は、近くのコンビニに行って、育児の先輩に聞きました。見知らぬ人にまで聞いたこともありますよ。

 やはり、いざという時にはご近所の方が頼りです。私のような芸能界の仕事をしていると、誤解されたり警戒心を持たれやすいので、自分の方からどんどんコミュニケートしていくように心がけています。そうすると、自然に周りも助けてくれます。うちの娘の洋服も、実は全部ご近所のお友だちのお下がりなんですよ。友だちの名前の上に、「鈴音(リオン)」って娘の名前を書いて(笑)。

 子育ての経験のある人は、どんなことでも教えてあげたいんです。私も、困っているお母さんを見ると、つい声をかけてしまう。おせっかいなんですね。買い物もできるだけ近くのお店で買って、地元の地域に還元したいと心がけています。

 みんなの助け合い、人間どうしの触れ合いが1番大事だと思っています。人間って、本当に持ちつ持たれつ。お互いに助け合い、感謝しあって生きていきたいですね。



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