管理に関するFAQ

その他

修繕積立金の運用について

私は理事をしています。先日の理事会で理事長から修繕積立金の運用に関して、定期預金を解約して株式に投資しようという提案がありました。もし株価が暴落して被害を被った場合、理事として私も責任を負うのでしょうか。

 区分所有者は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体(これが管理組合です)を構成し(区分所有法第三条)、その総会決議によって管理者を選任することになりますが、通常は管理規約によって、管理組合の役員として数名の理事を選出し、理事長はその中から選ぶことになります。
 このようにして選出された理事長および理事は、善良な管理者の注意義務(一般的に善管注意義務といいます)をもって委任事務を処理することになります。
 従って、選ばれた理事長はもちろんのこと理事もその義務に違反して管理組合に損害を与えたときは、損害賠償責任を負うことになります。
 さて、本問の回答ですが、先に述べたように、理事の業務は建物などの管理義務を行うことにありますから、修繕積立金を有利に運用して利益を上げることではありません。それゆえ、暴落の危険がある株式に投資すること自体、基本的には適正な管理業務といえません。また、通常、管理規約によれば、総会の決議事項において「その他組合の業務に関する重要事項(組合員の共同の利益に関わる事項)」をあげていますので、総会で修繕積立金の株式投資での運用を決議して行うことも考えられますが、株式投資での運用自体が適正な管理業務に違反すると解され、善管注意義務に違反して損害を与えたとして、のちに理事の責任を追及する総会決議がなされることも予想され、高騰するという確実な情報(このような情報は違法な情報以外にない)があっても、理事としては修繕積立金の株式投資での運用は避けるべきですし、せいぜい元本割れが生じない運用にかぎるのがよいでしょう。株価が暴落した場合は、株式投資に関わった理事は責任を追及される場合があるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2001年1月掲載

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電波障害対策に関するトラブルについて

築八年のマンションです。マンションの建築に伴い発生した電波障害対策として、事業主がマンションから当該住戸へ道路をまたぎケーブルを張り、管理組合がこれらの設備を管理しています。先日、通行中のトラックがそのケーブルを引っ掛け断線しました。トラック側は、「荷姿の高さは三・五メートルであり法律を守っている」とのことです。ケーブルを設置したのは事業主ですが、管理組合に責任がありますか。

 電波障害対策のために、道路をまたいでケーブルを設置する場合、道路法施行令によれば、車道においては高さ四・五メートル、歩道においては二・五メートル以上の高さにケーブルを設置しなければならないことになっています。
 そこで、事業者の責任ですが、当初からケーブルの高さを三・五メートル以下に設置していた場合は、その設置に瑕疵があることになりますが、当初は道路法施行令の規定を充足していた場合には、責任はありません。
 また、本件ケーブルの設置に瑕疵がある場合も、管理組合が事業者から贈与を受けた場合には、原則として瑕疵の責任を問うことはできず(民法第五五一条)、本件ケーブルを売買で取得した場合に責任を問うことができ、これを瑕疵担保責任といっています。すなわち、売買により取得した物に、隠れた瑕疵があった場合には、その瑕疵を知ってから一年に限って、損害賠償、場合によっては売買契約を解除することができるのです(民法第五七〇条、第五六六条)。ここに「隠れた」というのは、通常人の注意を払っても発見できないことをいい、「瑕疵」というのは、その対象物について通常有すべき品質、性能を有しないことをいいます。
 そこで、本設問の回答ですが、事業者の責任は、事業者が道路法施行令の規定に反する高さ以下に本件ケーブルを設置していた場合で、事業者が管理組合にこのことを隠して譲渡し、管理組合がこれを知らなかった場合には、瑕疵担保責任を追及されることになります。
 そうでない場合には、例えば、当初道路法施行令に違反することなく設置されていたが、時間の経過とともに、ケーブルの自重や金具の緩みなどのために、本件ケーブルが三・五メートル以下に垂れ下がった場合には、所有者の管理が悪かったということになります。
 なお、荷姿三・五メートルのトラックが、道路交通法に違反して本件ケーブルの設置してある道路を違法に通行した場合で、道路法施行令に違反して事業者が設置したまたはその後の管理組合の管理の落ち度により三・五メートル以下に垂れ下がった本件ケーブルを引っ掛けた場合には、トラックに道路交通法(安全運転義務違反)の違反があるとしても、通常は、本件ケーブルを断線させた責任までは問えないでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2002年11月掲載

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店舗前のシャッターを修理した場合、その費用の負担先は

私はマンション一階にある店舗の区分所有者です。先日店舗前についているシャッターが壊れてしまい、自己の負担でそのシャッターの修理をしました。この修理費を管理組合に請求することはできますか?

 本問は、店舗前のシャッターが区分所有者の専有部分かまたは共用部分かが回答の前提になります。区分所有者の専有部分であれば、区分所有者が所有するものであり、当然修理費を負担すべきですが、共用部分であれば、管理組合の所有に属する物を区分所有者が専用使用権に基づいて使用していることになり、修理費をどちらが負担するかが問題となります。
 ところで、店舗前のシャッターが専有部分かまたは共用部分かは、通常はそのマンションの管理規約に定めがありますので、その規約に従って判断することになります。
 ちなみに標準管理規約(複合用途型)によれば、「玄関扉及びシャッターは、錠及び内部塗装部分」を専有部分と規定し、また、「窓枠及び窓ガラス」は専有部分に含まれないと規定しています。
 その趣旨は、標準管理規約では、専有部分と共用部分との境界に関して、上塗説(躯体部分は共用部分であるが、上塗り(クロスなど)を専有部分とする説)を採用し、シャッターなども外気を遮断する躯体部分に類する物と考えられるのと、これを専有部分とすると、区分所有者は玄関扉の形状を変えることができるために、マンションの外観が不統一な様相になることもあり、これを防止する趣旨をも含んでいます。
 そうすると、区分所有者は、管理組合からシャッターの専用使用権を認められ使用していることになりますが、専用使用権が認められた共用部分の管理は、通常の使用に伴う破損については、専用使用権を有する者がその責任と負担において管理するものとされています。以上によれば、本問の回答は、管理規約により、シャッターが専有部分に属する場合または、共有部分に属する場合でも、区分所有者の通常の使用に伴う破損の場合、いずれも区分所有者がその修理費を負担することになり、共用部分に属する場合で、通常の使用に伴わない長期間の使用による劣化によるなどの破損の場合のみ、管理組合が修理費を負担することになり、区分所有者は管理組合に対し、立て替えた修理費を請求することができることになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2003年12月掲載

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事業主に預託した管理費等について

新築マンションの部屋を購入しました。入居時に管理組合に支払ってもらうべく管理費をそれぞれ三カ月分(三万円)と修繕基金(三〇万円)を事業主(販売主)に預託しました。入居して二カ月たちますが、いまだに事業主より管理組合の口座に振り込まれていないようです。万一、事業主が倒産などによって支払うことができなくなってしまった場合、私は再度管理組合へ管理費と修繕基金を支払う必要があるのでしょうか。

 管理費と修繕基金(以下管理費等という)は、区分所有法第一九条に「その持分に応じて共用部分の負担に任じ」と規定し、また、標準管理規約第二五条によれば「敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため管理組合に納入しなければならない」と規定されているので、分譲マンションの購入者(区分所有者)は管理組合に対して管理費等を支払う義務があります。
 ところで、分譲マンションの新規販売の時点では、事業主が管理組合を代理(事務管理なども考えられます)して、購入者から管理費等を集金することになり、このことは、管理組合(購入者全員で設立されることになる)もこれを了承しているので、購入者が事業主に管理費等を支払えば、管理組合に支払ったことになります。
 それゆえ、それ以後は、管理組合は事業主に対して、購入者が支払った管理費等の支払いを請求することになり、購入者に請求することはできないと考えられます。
 実際の問題として、事業主は管理組合を代理して、管理費等を集金していますので、委任者である管理組合に対して、管理組合の預金口座を開設し、その日か翌日には、それに入金すべきであると考えられますし、いくら遅くても、規約で定められたその月の末日までには入金しなければならず、入金しない場合には、債務不履行となり、管理組合も法的処置をとる必要があります。
 また、設問にあるように、万一、事業主が倒産などして支払いができなくなった場合は、管理組合が破産法等の債権回収手続きをとることになり、個々の購入者(区分所有者)には改めて管理費等を支払う義務はないと考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2004年9月掲載

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管理規約の変更が承認されなければ、管理会社の変更もできないのか

理事長です。理事会にて管理会社の変更を検討しています。しかし、管理規約に管理費等の収納方法について、現管理会社が行っている『毎月五日に当月分を振替』と記載があり、変更予定の管理会社は、『毎月二七日に翌月分を振替』となるため、同時に規約の変更が必要で、管理規約の変更が承認されなければ、管理会社の変更もできないのではないかという意見があります。どうなのでしょうか?

 管理会社を変更することで、口座振替日等が変わることは通常ありえることです。管理費等の口座振替は管理をする上での実務に関することであり、必ず管理規約を変更しなければならないのであれば、マンションの管理運営に支障を来すこととなります。
 管理規約において、口座振替日等を記載することは、組合員全員に周知したい管理組合業務の特性を記述しているにすぎず、変更が行われたとしても、管理組合と組合員の利害関係(債権・債務)に著しい影響を与えるものではないため、実態に応じて字句の読み替えを行うことも許されるものと考えられます。
 よって、管理規約変更の手続きは必要なく、組合員全員へ「管理会社変更に伴い、管理規約に記載された管理費等の収納方法が『毎月五日に当月分を振替』から『毎月二七日に翌月分を振替』となります」等の案内文を配布すれば、規約の内容については自動的に『毎月五日に当月分を振替』を『毎月二七日に翌月分を振替』に読み替えるということになります。
 後々の誤解を避けるために、理事会での決議を得て、理事会議事録に明記するとともに、事後の総会で追認を得た方がよいでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2005年10月掲載

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